もし恋愛偏差値というものがあるなら、きっと僕は25とか30くらいの値なのだろう。
それくらい恋愛が下手だ。ばかりか、それにまつわる悩みをしょっちゅう抱えていたりする。

先日、『超訳 ニーチェの言葉』という本を読んでいて、
こんな一節にぶつかった。
愛するとは、自分とはまったく正反対に生きている者を、その状態のままに喜ぶことだ。自分とは逆の感性を持っている人をも、その感性のままに喜ぶことだ。
愛を使って二人のちがいを埋めたり、どちらかを引っ込めさせるのではなく、両者のちがいのままに喜ぶのが愛することなのだ。

超訳 ニーチェの言葉

ディスカヴァー・トゥエンティワン


言われてしまった、と思った。
おっしゃる通り、でもね、とも思った。
僕はなかなか、ニーチェみたいに愛することができない。


たとえば、好きな人ができたとする。
最初はいいところばかり、目に入る。
しかし、一緒にいる時間が増えたり、そのままつき合うようになると、
相手の嫌なところ(ニーチェ流に言えば、正反対な生き方や逆の感性)が目につく。

多くの場合、僕は相手の嫌なところを変えてほしいと思うし、
でも変わらなくて、喧嘩になることも多かった。

また、僕がつきあう人も、ある意味、僕に似ていた。
僕が相手を変えたいと思ったように、彼女は僕を変えたいと思い、
やっぱりうまくいかなくて、ダメになった。


恋愛ベタな僕は、街を歩くカップルを見るたび、不思議に思うことがある。

彼や彼女は、もともと自分に合った相手と付き合ったのか、
それともニーチェの言うような愛し方をしているのか、
それとも単に我慢をしているのか…

きっと、人それぞれなのだろう。


人と人にちがいがあるのは当たり前で、
そのちがいに目をつぶることで、世の中は成り立っている。
けれど、僕は好きな人といるとき、目をつぶれなくなる。
それは、そのちがいを(相手から)埋められるという甘えなんだろう。

相手に甘えることで、本当に甘えられる相手を失っていく。
書けば書くほど、僕は恋愛に向いていない。


ニーチェみたいに、愛せますか?

といま訊ねられたら、僕は口ごもるだろう。
ニーチェの愛の優しさの前に、深く恥じ入りながら。
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砂上のファンファーレ

早見 和真 / 幻冬舎


家族とは、そこにあるだけでは、家族として「機能する」とは限らない。
そのことに気づかされたのは、数年前、母が倒れたときだった。


その日、僕が勤めていた小さな編プロに、勤務先で母が倒れたという連絡があった。

母が入院した病院を訪ねると、脳梗塞だと伝えられた。
最悪、マヒや言語に障害が残ると言われ、母一人、子一人で育った僕は、途方に暮れた。

しかし、正確に言うと、母にとって「家族」は僕だけではなかった。
母の弟、僕にとっての叔父も、病院に駆けつけていた。


叔父に会うのは、久しぶりだった。

幼いころ、僕は、母が働いている関係で、
叔父と祖母が住む家に預けられ、一日の大半を過ごしていた。

祖母は僕をかわいがってくれたが、叔父はそうではなかった。
今で言うと、ニートのような暮らしをしていた叔父は、
虫の居所が悪いと、僕をすぐ怒った。手が出たこともある。

叔父にとって、僕は虫が好かない存在だったように、僕にとって、叔父は憎悪の対象だった。
怒鳴られるたび、暴力をふるわれるたび、いつかこいつを殴り返してやろうと思った。

でも、病院で再会したとき、今がそのときではないことは、すぐわかった。


叔父と僕は、それから、交代で母を見舞い、
手分けして、転院や退院、リハビリの手続きをし、母の容体を見守った。

その後、母は驚異的な回復を見せ、
いまでは(以前とまったく同じとは言わないが)、歩くことも、しゃべれることもできる。

当時(も今もだけど)、別々のところで暮らしていた、
僕と、母と、叔父は、あの日を境に「機能」し始めた。

ただただ母が元気になることだけを願って、
僕と叔父は、そして母自身が自分のできることをやり、支えあった。

彼女が倒れるまで、そんなふうに、
お互いやさしくできる日がくるとは思わなかった。


前置きがずいぶん長くなったようだ。

注目の若手作家、早見和真の最新作、『砂上のファンファーレ』は、
ひと言でいえば「家族が機能する」までを追った物語だ。

本書に出てくる家族は、最初はまったく機能していない。
すでに壊れかけていると言ってもいい。

原因不明の物忘れに悩む母、
事業がうまくいかず借金を重ねる父、
真面目だが家族とは一定の距離をとる長男、
家族になじめず浮いている次男…

彼らは、たしかに家族だけど、お互いがバラバラの方向を向き、
知らんぷりをして、ただそこにいるだけだ。

そんな家族が、あることをきっかけに「機能」しだす。
しかも、驚異的なスピードで。


一つのきっかけから急速に家族が「動きだす」この物語は、
読む人によっては荒唐無稽という印象を受けるかもしれない。

しかし、母の病によって「機能」した家族を持つ僕としては、
家族には、もともとそういう力があるのだと言いたい。

くしくも今回の震災によって、自分たちの家族の「機能」を、再認識した人もいると思う。
家族が痛みを生み出すこともあれば、家族が痛みから守り、癒すこともあるのだ。


家族を、家族の「機能」を信じられない人は、ぜひこの物語に触れてほしい。
自分の家族のことを思い浮かべながら、一気に読めるはずだ。

そして、その日からきっと、あなたの家族も動きだす。

多忙のため、引きつづきコメント欄等、
スルー&お眼汚し状態になることをお許しください

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# by aru-henshusha | 2011-04-10 22:40 | 本・出版
すごくすごく久しぶりです。
ある編集者です。生きています。


東京で地震にあっただけで大げさな、と思われそうですが、
昨日オフィスで、最初の大きな地震に遭遇したとき、
正直、死ぬかと思いました。

ビルの構造(しかも、それは安全性を考えた構造なのでしょうが)のせいか、
縦揺れがひどく、エレベーターは止まり、あちこちでゲラや本が散乱し、
社内も社外も騒然としているし、そのあとも、たえまなく余震が続く。

間違いなく、僕が生きていた中で体験した、一番大きな地震。
その地震のさなか、そして「地震のあとで」、考えたことがいくつかあります。


一番最初に考えたことは、身も蓋もないですが、
「この会社で死にたくない」ということでした。

この会社で死ぬ、というか、多分、
この会社の一員のまま死ぬということにたいして、
僕は納得はできないな、と思いました。

それは、自分の真意に気づかされたというより、
前々からの思いの再確認と言ったほうが正しいのですが、
僕の死に場所はここでない、と改めて感じました。


同時に、これはまだまとまっていない考えのメモにしか過ぎませんが、
自分はもしかすると、「編集者として死にたくない」とも、
あの場で思っていたかもしれません。

編集という仕事は、相変わらず好きですし、
毎日バカみたいに働いています。

でも、その生活が本当に自分が望んでいることなのか、
建物が揺れるとともに、心もグラッときました。
その「震源地」については、しばらく考え続ける予感がします。


また、「地震のあとで」、色々な人の安否を確認しようと連絡を取りました。
そして、これも身も蓋もないことですが、
いま、自分が大切に思う人が誰なのか、ハッキリしました。

むろん、それはこちらのone-wayな思いの発露でしかないのですが、
割と優柔不断な僕にとっては、いい経験でした。

あと、普段はウザいくらいに感じてた親からのメール、
昨日だけは嬉しかった。本当、生きているだけで何より。


いい機会ですから、「地震のまえに」考えていたことも、
あわせて書いておきましょう。

このブログ自体は全然更新していないのですが、
いまはツイッターやらフェイスブックやら、
あるいは●●社の××としては、たまにブログを更新しています。
(僕の実名を知っている方は、よかったら検索してみてください)

ある時期から、匿名よりは実名で発信するほうがメリットが大きいと考え、
そうしてきました。
実際、「ある編集者」じゃない僕を知る人も業界ではけっこう増え、
仕事にもいい影響が出ています。

ですから、このブログは(生身の自分と最終的にひもづけるかは迷いますが)、
どこかで完全に更新をストップしようと思っていました。


けれど、「地震のあとで」、やはり考えが変わりました。

僕がいま、本当に書き残しておきたいことは、
ツイッターでもフェイスブックでも、ましてや社名を背負ったブログでもなく、
やはり「ここ」に投稿すべきじゃないかと思いました。

「ある編集者」の正体を知っている方からすれば、
それは中身がバレバレの「マスクマン」の悪あがきなのかもしれません。
でも、いまの僕には、その「マスク」が大事なんです。

ここに書いただけで、魔法のように色々なしがらみが消えてしまうわけでもないですし、
生身の僕と結び付けて「××、あんなこと書いてたよな」と噂されたりもあるでしょう。

だけど、僕はやっぱり「ある編集者」としてキーボードをたたくとき、
ちょっとだけ強く、ちょっとだけ素直になれる気がして。

「ある編集者」のマスクをつけて書きたいことが、
きっとこれからも、節目節目であるように思います。

そんなことを「地震のあとで」考えて
久しぶりにヒトリゴトを言ってみました。


「自分の家」なのに、ちょっとあけすぎたようですね。
ともかく、ただいま。

しばらくすると、またどこかに遊びに行ってしまうかもしれないけど。
でも、ただいま。


*色々書きましたが、このブログのケアにかけられる時間が一番少ないので、
コメント欄とかスルー&お眼汚し状態になることをお許しください

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◆ある編集者とは
現在、某出版社に勤務中。おもにビジネス書と呼ばれるジャンルの本を作っています。
性別:男、年齢:秘密。ブログの存在は、基本的に親しい人のみ教えています。

◆当ブログの更新と献本について
日々の仕事に加え、将来のキャリア作りのために動き出していることがあり、更新に使える時間が著しく減っています。
更新についての姿勢はこの記事に書いたとおりです(「いい加減」ですみません)。

とはいえ、たまりつつある献本については、常に心にとめております。お許しを。

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◆最近のニュースなど
『書評王の島』vol.2の、匿名編集者座談会「書評メッタ斬り!」に参加しました。
(こういう面白い企画へのお声がけは大歓迎です。仕事に支障のない範囲で参加させていただきます)
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# by aru-henshusha | 2009-12-31 23:59
先日友人に、

勝間和代十夜

なるものの存在を教えてもらいました。
これ、ビジネス書編集者だったら、爆笑必至ではないかと思います。

で、便乗して「こんな勝間和代はイヤだ」を作ってみました。

*最初に言っておきますが、あくまでネタとして作ってみたものです。
 仮にご本人が見ても「バカねぇ」と笑い飛ばせる内容になってればよいのですが…


勝間さんにもビジネス書にも興味がない人だと「ちんぷんかんぷん」の内容でしょうが、
これを機に(?)、少しでも興味を持っていただければ幸いです。

●こんな勝間和代はイヤだ●

じつはヤフー派だ

じつは断るのが苦手

じつはお金を銀行に預けている

じつは自転車に補助輪がついている

じつは干場さんが夜になると勝間さんに変身している

Paboに対抗してChabo!メンバーでCDを出そうとしている

手帳を作ってはみたが、自分は「ほぼ日」でもいいかなと思っている

本田さん、もう『レバレッジ』書名に使わないの? じゃあ、ちょうだい」

本当はマルコム・グラッドウェルより、マルコム・マクラーレンを尊敬している



う~ん、自分で書いてて何ですが、これ本当に面白いか、自信がないです…
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そんなこと、ブサイクなお前に言われたかねーよ、というツッコミがたくさんありそうですがお許しを。

美人じゃないのに何故かモテる女の特徴(恋のから騒ぎ)
「目が離れてる・色白・リアクションが大きい」

目が離れていることで男は安心し、色白は七難を隠し、男の話に「すごーい!その話すごく興味ある~!」といちいちリアクション大きく反応することで男は自尊心を満たす。この三拍子が揃っている女はいくらデブでブスでもモテる。逆に全て外している女は絶対にモテないし、一つでも欠けているとただの面白い子で終わる。
これ、動画を見ると「そんなことないよ」という意見もありましたが、個人的にはけっこう「ある」んじゃないかと思います。

とくに、自分が年をとればとるほど、「リアクション大」の女性はありがたいなぁと感じるようになりましたね。
(話の主旨が変ってしまったような気がしますが…)

逆に、「目が離れていない・色黒・無口」な女性は、ドMの人にはモテるような気がしますが…
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# by aru-henshusha | 2009-07-21 01:08 | 恋愛・男女
c0016141_0341118.jpgいただいた本がたまっているのに他の本を紹介するのは、ホント気が引けるんですが…

日本人の知らない日本語

こちらの本(コミックエッセイ)に、思わずへえと唸るような、日本語の豆知識が書いてありました。

目上の方に「頑張ってください」と伝えたい場合、

「お疲れの出ませんように」


と言うのが正しいのだとか(これ、編集者としては、常識なんですかね…)

僕も「がんばれ」は目下の人に使う言葉だとはわかっていたのですが、それに代わる言葉を知らないため、著者の方とお話しするときなど、どう言うべきか長年迷っていたんですよね~
(さっさと調べろよ、という話ですが)

これ以外にも、

・スキー板の数え方
・「さしつかえなければ」と「おそれいりますが」の違い
・「です」「ます」言葉を広めた人たち

など「日本人の知らない日本語」がたっぷりの一冊です。
日本語学校に通う外国人学生たちのお国柄や個性がユーモラスに描き分けられていて、ベストセラーになるのもむべなるかな。

って、他社の本をほめている場合じゃありませんね。がんばれ、自分(&弊社)。
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# by aru-henshusha | 2009-07-21 00:55 | 名言・言葉