ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

本の値段は、素人が思っているほど高くはない。

「書籍編集者esのつれづれ書評」に、同業者として見逃せない記事があった。

本は高いか、安いか? 本の適性価格とは

僕も正直、この業界に入るまでは、本の値段(文庫や新書は除く)は、けっこう高いんじゃないかと思っていた。
でも、自分が1冊本を作るのに、どれくらいのお金がかかるかを知って、その考えは変わってきている。

自社のデータを出すわけにはいかないので、ネットで公開されている一般的な例を見てみよう。

1.10  初版原価と重版原価(太郎さんと花子さんの出版技術講座)

まず注目していただきたいのは、次の部分。

昨年の書籍出版協会の調査資料でも、平均的な定価付けが直接製造原価の3倍程度となっており

ここで言う直接製造原価とは、紙代・DTP代・印刷代などだ。
直接製造原価の3倍程度で定価がついているということは、逆に言えば定価の33%くらいが直接製造原価でしめられているわけだ。

次に考えてほしいのは、本を作るのに必要なお金は、(当たり前だが)直接製造原価だけではないということ。
販売費、広告費、人件費(僕らの給料)などが、必要経費に上積みされる。

そもそも、出版社が取次に本をおろすときは、正味といって定価の何割かでおろしている。
仮に正味が7割だとしたら、
定価×0.7-(直接製造原価+その他の経費+印税)=出版社の儲け
となる。
(とか書きながら、この辺かなり自信ないや。間違っていたら申しわけない)

まあ、長々と書いたけれど、本1冊を売っても、大した儲けにはならないのである。

もちろん、何を高いと感じるかは人それぞれの感覚の問題だから、本が高いという人がいてもしかたがないと僕は思う。

でも、もしも出版社の定価付けが不当に高く、暴利をむさぼっていると思っている方がいたら、すくなくとも普通の書籍の場合、そうでもないんだよとだけは記しておきたい。
もっとおいしい商売は、この世にいくらでもあるはずだ。

だいいち、そんなにボロい商売だったら、僕、もっとたくさんお給料もらってますから……
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by aru-henshusha | 2005-04-12 19:09 | 本・出版