ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

成功が人を縛り、栄光が人をダメにする。<ヒトリゴト。7>

ビジネス書を読んでると、よく「成功体験」という言葉に出合う。

「成功体験」のある人間は、それで自信とノウハウを得るから、また次の成功につながる。

なんて、簡単にまとめすぎではあるけれど、そんなメッセージを説く本は少なくない。

もちろん、「成功体験」は、ないよりはあるほうがいいだろう。
僕自身、以前うまくいった仕事が、いまの仕事の糧になっている部分はある。

けれど、「成功体験」というのは、こだわりすぎてもいけないものだ。

過去の成功にこだわりすぎる人間は、その成功に縛られる。
以前の栄光を忘れられない人間は、その栄光ゆえにダメになる。


「成功体験」は、ときに人の思考を停止させ、出口のないマンネリに突き落とす。
この業界でも、その罠にかかった人は少なくない。

著者であれ、編集者であれ、デザイナーであれ、過去の成功のイメージから抜けられない人間は、そのコピーをくりかえす。

同じような原稿、同じような構成、同じようなカバーデザイン。
それらの手法は、繰り返せば繰り返すほど、与えるインパクトは自ずと弱まる。

だけど、彼らはもう、そこから逸脱できない。
逸脱することが、怖いのだ。

1年前の僕だったら、そういう人と出会ったときは、そのことを指摘したかもしれない。
でも、いまはしない。黙って見ているだけだ。

自分が作り上げた成功体験の殻は、内側からしか割れないと僕は思う。
それに、ヘタに外側から割ると、「中身」が傷つく可能性だってある。
だから、僕は、黙って見ている。

でも、それが正しいのか、本当はよくわからない。
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by aru-henshusha | 2005-05-02 16:54 | 不定期なヒトリゴト。