自己啓発本は「読む」ことが大事なんじゃない、「使う」ことが大事なんだ。
2006年 05月 31日
シッダールタがブッダの一派に入らずに、旅を続ける決意をしたのは、なぜだったのか? その心をすこし脚色して代弁させていただくと、このようなものになる。僕は仕事柄、自己啓発系のセミナー(注 あぶないやつじゃないよ)に参加したりすることがある。
「ブッダがカリスマになれたのは、彼がほかのカリスマの書いた自己啓発書を、三色ボールペンで線を引きながら、まじめに読み続けたからではない。カリスマのセミナーを、欠かさず受講したからでもない。カリスマがカリスマたるのは、みずからの人生経験から、オリジナルの知恵を蓄積してきたからだ」
シッダールタがこう考えて、俗世で浮き沈みを経験していた間に、ゴーヴィンダはカリスマの新刊を買っては読んで線を引き、セミナーがあると聞いては受講して、年老いていったのである。
そのセミナーには、上で言うところの「ゴーヴィンダ」みたいな人物もけっこういる。
・自己啓発本にやたら詳しい
・自己啓発系のセミナーに足繁く通っている
・「変わりたい自分」について熱く語ることができる
でも、実際にはなかなか変われない、そんな人たち。
僕は編集者だから、この手の本を読むことが無意味だとは思わない。
だけど、その本を本当に役立たせたいのなら、ただ「読む」だけではダメなのだ。
自己啓発本(あるいはセミナー)は「使う」ことこそに意味がある。
たとえば、「自分の夢に日付をつけて、一日一日カウントダウンしていきましょう」と書いてある本があったなら、そのノウハウを即実行することが大事。
「**さんの新刊、読みました~いつもながらに感動ですぅ。**さんが成功したのは自分に<期限>をつくったからなんですよねーいまから次回作が楽しみ!」
なんてブログに書き込んだりする暇があったら、さっさと手帳に「夢の期限」を書き込めばいいのである。
あとはひたすら、実行、実行。
なかにはその人には合わないノウハウもあるだろうけど、「それが自分には役立たない」ということを学んだだけでも、試した価値があるのではないか?
世の中の自己啓発本には中身がスカスカなものも多いけど、それでも1項目ぐらいは実行するに値するネタが書いてあるはずだ。
それらを実行して読者の人生に1ミリでも変化があれば、本が売れるのと同じくらい、著者や編集者は喜ぶと思うよ。