郵便局の大誤植に見る、「誤植の2大法則」とは?
2006年 11月 02日
お年玉つき年賀はがきが発売された1日、大阪市の大阪中央郵便局で開かれた記念式典の看板の「発売」の文字が、「売発」と逆さまになっていた。リンク先の写真を見た人の大部分は、「こんな大きな(字の)誤植、どうして気がつかないんだよ!」とツッコミたくなったと思います。
職員が途中で気づいたが、文字は修正されないまま式典は終わった。同郵便局によると、看板を製作した業者が誤ったという。
その気持ちは僕もわかるのですが、同時に、編集者として、こういう誤植って意外と起きやすいんだよなぁと思い直しました。
なぜなら、この誤植は「誤植の2大法則(byある編集者)」にあてはまるから。
・誤植の2大法則(1)もちろん、この法則はあくまで僕の経験則ですし、科学的根拠もありません。
「大きな文字」の誤植は、かえって気づきにくい
→本の話でいうと、タイトルや著者名、中の見出しなどは通常の文字よりも大きい書体で書かれています。
そういった文字を見るときに、チェックする側としては「ここは当然、間違わないでしょ~」という<油断>が起きやすいんです。
だから、脚注のように細かい文字の誤植は全然ないのに、本文より大きい書体の見出しが間違っている本が見受けられることがままあります。
・誤植の2大法則(2)
文字の「順番間違い」はスルーしがち
→件の郵便局の例でいえば、これがもし「発<倍>」だったら、誤植に気づく可能性は高かったと思うんです。
というのも、僕の知る限り「発倍」なんて熟語はないし、その逆の「倍発」という組み合わせもない。
ようするに、どんなにナナメ読みしても、「この並びはありえないよねぇ」とすぐ気づくはずなんです。
でも、例の「売発」は、「発」と「買」の組み合わせには違いありません。
だから急いで読むと、「<発>+<買>、はいオッケー」となりうるのだと思います。
(↑コメント欄で指摘されたように買→売が正しいです。
油断してるとすぐ誤植が出るという実例でさらしておきます)
とはいえ、「人は自分が思った以上に、よく間違う生き物である」ということは、あながち間違いではないかと……
*だからといって、「売発、しかたがないよねぇ」とはいいませんよ。
やっぱり、恥ずかしいですよ。このクラスの誤植はね。
追記:「できあがった本をパラパラ見ていると間違いを見つける」まで含めて、3大法則にしてもよいのかもしれない。
(このとき、見本できたー→やったー→誤植見つけたーorz→増刷まだー?(しかも返品キター)、という恐怖のコースも存在する)