韓国出版業界の「本買占め」は、他人事ではない。
2007年 02月 12日
【コラム】韓国出版業界の「本買い占め」のカラクリ(朝鮮日報)
単行本の出版社289社が加入している社団法人韓国出版人会議は8日、A出版社のベストセラー『ミリオン・ドル・チケット』の出版社による買い占め(店内ベストセラーの順位を上げようとする宣伝工作)現場を摘発したと発表し、同書をベストセラーの集計から除外するよう教保文庫などに公式に要請した。昨年 10月にインターネットサイトを利用した買い占めまがいの行為が摘発されてまだ3カ月も過ぎていないのに、また同様の事件が起きたのだ。日本では、出版社による本の買占めはあまり聞いたことがない。
だが、著者やそのとりまきによる「買占めまがいの行為」は、わりとある。
たとえば、以下に紹介する方法は、「買占め」とは言えないだろうが、ランキング操作を狙った<作戦>である。
ゴマブックスの「アマゾン作戦」(新文化)
ファンの購買を「いちどき・1箇所」に集中させれば、1時間置きに更新するアマゾンジャパンのランキングの上位に躍り出る可能性は高い。上位にくれば著者のファン以外の層にも注目され、さらに売上げが伸びる、という算段である。著者に資金力がある場合は、ファンの力を借りずとも、著者とその身内だけでもこれをやる。
(ただし、露骨なまとめ買いはランキングに反映されない可能性があると思う)
もっとも、この手法は、いまではかなりポピュラーになったため、アマゾンのランキングは「荒れ」放題だ。
誰も知らないような著者の本がに上位にくることが増えたため、ランキングの信憑性は落ち、売上の伸びは昔ほど期待できないだろう。
また、これと同じような狙いをもった、著者(および取り巻き、ファンの)集中購入は、リアル書店でも起きている。
ある特定の週にだけ、特定書店のランキング上位に登場した本があるのなら、それも「作戦」である可能性は高い。
これらの「買占めまがい」の行為を、著者や出版社は<マーケティング>と呼び、販促の一環としてやっている。
こういうものが、はたしてマーケティングにあたるのかは知らないが、人によってはこれらの行為に嫌悪感を抱くことも想像に難くない。
ただし、どんなに<マーケティング>を頑張ったところで、実力以上に売れる本は多くない。
アマゾンのランキングも、リアル書店のランキングも「打ち上げ花火」みたいなものだ。
一瞬、高くまで昇ったところで、時間が経てば消えてなくなる。
本当に力のある本は、「線香花火」みたいにダラダラダラダラと売れ続けるものである。