ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

青年よ、ハウツー本を買えよ、でも町にも出よう。

見出しがイマイチなのは、下の記事にかけているからです……

青年よ、ハウツウ本を捨てよ、町に出よう(代替案のある生活)
最近電車に乗っていても、いわゆるハウツウ本を読んでいる人が多いように見受けられる。対人関係、営業の仕方、仕事の仕方、効果的なプレゼンテーション、果てはお金の儲け方まで、最近はハウツウ本が良く出ている。別にハウツウ本が悪いというのではないが、たとえば、対人関係についていえば、いくらハウツウを本から習ったところで、ひととちゃんと接していかなければ何も身につかない。誠実さや信頼される態度は、ハウツウ本で得られるとは思えない。

特に若い人たちは、まだまだ自分を育てていく余地を十分に残しているのだから、ハウツウ本に頼らず、古典を読んだり、芸術に触れたり、影響を与えてくれるような人と接したりする事の方が重要だ。
この方が言っていること、当たってる部分もあるとは思います。
でも、いわゆる「ハウツー本(この表記で統一)」も作る編集者としては、全面的に賛成ですとは言いたくありません。

なるほど、ハウツーからは得られない知識、生身の人と交わらなければ得られない経験というものは、たしかにあるでしょう。

けれど、それらを生かすのに、かえってハウツー本に書かれている情報が役に立つこともあるかもしれません。


たとえば、AさんはBさんによく頼みごとをしていたとする。
毎回のように頼みをきいてくれていたBさんが、ある日、Aさんに「もう、君の頼みごとはきけない」といいました。

突然の展開に驚くAさん。
むろん、冷静に考えれば、一方的に頼んでばかりの彼にBさんが愛想をつかしただけですが、(自分ばかり頼みごとをするほど)鈍感なAさんはそれに気がつかない。

こんなとき、Aさんが人間関係のハウツー本を見れば、

「人間関係はwin-winである」「もらう前に、まず与えよ」

といった一節に引っかかり、自分のまずさに思い至るかもしれません。

自分ひとりの頭では気づけなかったことでも、ハウツー本がヒントになる可能性はある。


ハウツー本に書かれていることは、ともすればベタで、応用の利かない原理原則でしょう。
人によっては、「言われなくてもわかるよ、そんなことは」といったレベルの情報かもしれません。

それでもハウツー本に一定の需要があるのは、どんな人でも初めは「当たり前のこと」がわからないし、またそんな「当たり前のこと」の判断さえできなくなるほと迷う時期が、人にはあるということではないかと思います。


「町に出て」自分の目で物を見、自分の頭で考え、成長できるのはすばらしいことです。
が、それは同時になかなか難しいことでもあります。

そんなときに「杖」となるのがハウツー本の役割だと、僕は勝手に思っています。

別に、自分の足で歩けるようになれば、一度は本を放ってしまえばいいのです。
けれど、いつのまにか、うまく歩けなくなったとき、またハウツー本にかえってもいい。

人は、どんなものからも学べるし、どうせ学ぶなら、いろんなものから学んだほうがいいのではないでしょうか。
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by aru-henshusha | 2007-04-05 01:30 | 本・出版