ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

『36倍売れた! 仕組み思考術』は、「今年一番もったいない一冊」である。

c0016141_23551862.jpg本書は知人の編集者を通じて、担当編集の方からいただいた一冊。
(なお、毎回、Kさんの手を煩わせるのもあれなんで、次回からは直渡しでも結構です。その場合はこちら経由でメールをいただければと思います)

それはともかく、

36倍売れた! 仕組み思考術

は、僕が今年読んだ中で「一番もったいない一冊」である。
その理由は後で詳しく書くから、その前に、少しだけ本書のウリを紹介したい。


この本に書かれているのは、一言でいえば「電話×DM」の営業術だ。

ミソは、この「電話×DM」というところで、商品を「電話だけで、あるいは電話をきっかけに売る(いわゆるテレアポ)」のではなく、「DMの力だけで売る(いわゆるセールスレター)」のとも違う。

まずは電話で見込み客を探しその後にDMを送る
、という一見「二度手間」にも思えるノウハウだけど、ページをめくるにつれ、その二段階方式がいかに理にかなっているかが明らかになる。


僕は以前、営業や販売促進の本づくりの参考に、「テレアポ」関係、「セールスレター」関係の本をわりと読んだ時期があった。

しかし、それらの本はテレアポならテレアポ、セールスレターならセールスレターだけのノウハウが書かれていて、両者を「かけ算する」という発想がなかった。

そのぶん、両方の手法のいいとこどりをしている本書は、非常に実践的な一冊である。
売り込む商品によってはこのノウハウが適用しにくい場合もあるだろうけれど、それを差し引いても十分読む価値があると思う。


さて、本題に戻る。

なぜこの本が「今年一番もったいない一冊」なのか?
それは、タイトルが悪いからである。

そもそも、いまのタイミングで、『仕組み思考術』というタイトルをつけるのは、『「仕組み」仕事術』の影響を受けたのだろう(注 後者の本は半年近く前に出たビジネス書のベストセラー)

べつに、ヒット作のタイトルを拝借するのが絶対に悪いとまでは言わない。
けれど、この本の場合、それがかえって裏目に出ている。


『仕組み思考術』は前述したように、「営業術」の本である。
だからこそ、メインタイトルに「営業を連想させる言葉」を盛り込むべきであった。

たとえば、「仕組み営業術」でも「仕組みセールス術」でも「36倍売れるしくみ」でもいい。
この本は営業にかんする本ですよ、というのをもっとアピールすべきだったのだ。


実際、このタイトルのせいで本書はしばしば「間違った売り場」に置かれている。
一例をあげれば、新宿の某大書店で、この本は『頭がよくなる思考術』などと一緒に「考え方」の棚に置かれていた。

それは、著者や編集者が考えていた、この本の置かれ方とは異なるだろう。
しかし、そういう状態をつくったのは、間違いなくこの本の作り手(とくに編集者だと察する)なのだ。

カバーにあれだけデカデカと「思考術」と書かれていれば、忙しい書店員さんは、条件反射でこの本を「考え方」のコーナーに置くに決まっている。
そういうケースが多ければ多いほど、この本はみすみす販売機会を逃している。


本のタイトルには、人目を引くという役割も当然ある。

しかし、ビジネス書に限って言うなら、やはり「その本の中身がすぐにわかる」というのも重要な役目である。

『仕組み思考術』というタイトルは、自ら本の中身をわかりにくく、あるいは誤って伝えている。

これがよりストレートなタイトルであれば、36倍とまでは言わないけれど、3倍~4倍、売れ行きは変わったのではないだろうか?


*当ブログへの献本は、以下のルールに則っていただける限り、歓迎いたします。
当ブログへの「献本ルール」を、ここらでハッキリ決めようと思います。
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by aru-henshusha | 2008-09-01 00:50 | 本・出版