「ほっ」と。キャンペーン

ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha
c0016141_15563910.jpgこれから紹介する本は、かなり前に担当編集者の方からいただいた。

読書は1冊のノートにまとめなさい

なかなか紹介できなかったのは多忙だったせいもあるけれど、もう一つ理由がある。

正直に言うが、この本をどう評価していいか迷ったからだ。

「同業者」としては、本書は高く評価すべきだろう。


ベストセラー『情報は1冊のノートにまとめなさい』の続編として多大な期待を受けてきたであろうこの本を、著者と編集者の方々はうまくまとめ上げたと思う。

たとえば、本書の構成の核となる 「インストール・フロー」は、その好例だ。

  1 探す(探書リスト作成)
  2 買う(指名買い)
  3 読む(マーキング)
  4 記録する(読書ノート作成)
  5 活用する(検索テキスト作成)

という段階にそって本文が展開し、第1章には、全体の流れのごく簡単なサマリーまでついている。
この通り実践すれば、著者が編み出したノウハウを無事「インストール」できるだろう。

同業者から見て、この本には、お世辞ではなく「いい仕事がされている」。
しかしながら、「一読者」として、僕はこの本には満足していない。



この本のカバーには、「多読・速読より、一冊ずつきちんと頭に落とす読書術」というコピーがある。

この言葉どおり、1冊の本を驚くほど短い時間で読む方法も、大量の本を読んで得た知識をビジネスに生かしてリターンを得ようなんてメッセージも、本書には書かれていない。

この本が扱うのは「まっとうな読書(&情報整理)」のノウハウだ。
しかし、そのまっとうさゆえに、それらのノウハウには新鮮味がほとんど感じられない。


僕らのように編集という職に就いた者で、「一冊ずつきちんと頭に落とす」ことを一度も意識しないで本を読んできた人間が、どれだけいるだろう?

仕事であれプライベートであれ、僕らは本の内容を思う存分享受するために、それぞれの読書術を日々磨いているはずだ(きっと、本書の担当編集者の方も)

だから、この本に書かれている大抵のことは僕は実践(あるいは理解)しているし、一部のノウハウは自分に合わないと思って止め、一部のノウハウはよりよいと思う方法で導入済である。

たとえば、本書で言う「探書ノート」は「はてなブックマークのコレクション機能」を代用している。
「読書ノート」のかわりとして、このブログには、よいと思った本の書評をアップしている。
読んだ本の書誌的な記録は、ブログのライフログに任している。
(よく考えたら、これも「はてブ」で代用できそうだが……)

そういう「読者」としては、この本は「いい本」だけど、何かが足りない。
僕は今さら自分の読書生活を、「1冊のノートにまとめたい」とは思わない。



最初に書いたように、今でも僕は、この本の評価を迷っている。

「他社の商品」として見たとき、この本は素晴らしい一冊である。
けれど、「自分が読む本」としては、この本には、やはり何かが足りない。

いい!と思える本というのは、自分にとってまったく新しいことが書いてある本というより、結局、自分自身の考えを後押ししてくれるもの、というか、薄々知っていたことを証明してくれる本。」と言った方もいるけれど、こと読書関連の本については、僕はそう思わない。

読書は僕にとって、多分死ぬまで欠かせない行為である。
だから、本の少しでも新しい読み方、違った本の楽しみ方を教えてくれるような本に、僕は出合いたい。

*追記:そのような意味で、以前、僕が感銘を受けたのが以下の本だ
→『本の読み方 スロー・リーディングの実践


*当ブログへの献本は、以下のルールに則っていただける限り、歓迎いたします。
当ブログへの「献本ルール」を、ここらでハッキリ決めようと思います。
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by aru-henshusha | 2008-12-25 18:16 | 本・出版
c0016141_2264865.jpg就活のバカヤロー

という、一度聞いたら忘れられないタイトルのこの本は、かなり前に著者から献本いただきました。

多忙で紹介できないうちに、あれよあれよと売れて(→「就活のバカヤロー」新書がバカ売れ 学生も企業も大学も茶番?著者ブログによれば現在7万部突破とか)、けっこうな数の書評もされているご様子。

いまさら内容を論じるのもアレなので、今回はこの本のタイトルに絞って記事を書こうと思います。


さて、僕は著者とは古い付き合いということもあり、本が出る前からこのタイトルについては聞かされていました。

最初は、たしかにインパクトがあるタイトルだと思いましたが、けれど、その「言いっぱなし(タイトルが先行しすぎで、中身がよくわからない)な感じ」が多くの読者に受け入れられるのかどうかは、内心、心配もしていたのです。

しかし、フタをあければ、本書は売れに売れています。
これは、就職状況の急激な悪化の追い風も受けているとは思うのですが(注 就職難のほうが就活本は売れるので)、やはり、このタイトルの力も大きいでしょう。


後出し承知で言いますが、このタイトルは「シューカツ」に翻弄される学生、また、そんな学生に振り回される大学・企業の「心の叫び」を、どストレートに表現しています。

僕自身、出版社を数十社受け、不採用通知の嵐に見舞われていた学生時代は、まさに思いっきり「バカヤロー」と叫びたい毎日でした。
けれど、喉元過ぎればなんとかで、この業界に勤めてウン年たつと、その感覚を忘れてしまうのですね。

その点、本書の著者や編集者は、学生・採用担当者・就職課の職員という、立場が異なる3者に共通する叫びをすくいあげている。

「バカヤロ」ーという乱暴な響きのわりには、これは随分と「頭のいい」タイトルなのです。


それにしても、我ながら、売れた後にああだこうだ言うほど簡単なことはないですね。

この本を世に出す前から、ある程度の確信を持ってこのタイトルをつけた関係者たちの「頭のよさ」を讃えて、記事のシメとさせていただきます。


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by aru-henshusha | 2008-12-15 22:44 | 本・出版
c0016141_16952.jpg先日、関係者の方々から献本いただいた、スティーブ・ジョブズの仕事の流儀について書かれた一冊。

スティーブ・ジョブズの流儀

ねっからのWindowsユーザーの僕ですが、ものづくりに携わる人間として、学ぶところが多い本でした。

紹介したい話はたくさんあるのですが、「フォーカス」が信条の彼にならって、一番印象に残った部分にポイントを絞って引用します。

(新製品を作る際、ユーザーの意見・要望を調査することをジョブズは好まない、という記述の後に)
ジョブズはつねにユーザー体験を重視した、とジョン・スカリーは言う。「彼はいつもユーザーがどのように体験するかという観点から物事を見ていた。でも、そのころの多くのマーケティング担当者のように消費者のところへ行って彼らの望みを訊く、みたいな方法は信じていなかった。彼は言ったものだ。『グラフィックベースのコンピュータが何かを知らない人に、グラフィックベースのコンピュータはどうあるべきかを訊くなんてどだい無理な話だ。だれも見たことがないんだからね』とね」(同書82ページ)
彼はまた、雑誌のインタビューに答えて
自分が何をほしいかなんて、それを見せられるまでわからないことが多い
(同書83ページ)
とも言っています。

たしかに、これまでにない新しいものであればあるほど、実際にこの目で見なければ、その良し悪しを判断することは難しいはずです。


ところで、自分は何を欲しいのか、僕らは「それ」さえ見れば、わかるのでしょうか?

僕は、時と場合によっては、「それ」を手に入れた後でさえ、自分の本心がわからなくなるときがあるように思います。


ビジネスの話からそれますが、何十年も生きていると、自分が一生懸命頑張って手に入れたものが、本当に欲しいものだったのかどうか、迷うことがあります。

むろん、それは単なる気の迷いかもしれないし、一時的に飽きがきただけなのかもしれません。

けれど、一方で、自分は、自分が欲しいものが本当にわかっているのか、不安に思ったりもします。


自分は何が欲しいのかを知るということは、自分を知ることに他なりません。
そして、僕らは、思った以上に、自分のことを知らないんじゃないかなという気がします。

欲しいから手に入れて。でも、手に入れたら、それが本当に欲しいものかわからなくなって。
気づいたら、手に入れたものを失って。失ってから、そのものの大切さに気づいたり。

そうやって、迷って迷って生きるのが、天才ジョブズとは180度違う、僕の流儀なのかもしれません。


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by aru-henshusha | 2008-11-11 02:27 | 本・出版
c0016141_051262.jpg一読しただけでは意味不明な見出しでしょうが、その説明についてはおいおいと。

今回紹介する本は、担当編集・著者共に自分の知人という、書きやすくもあり、書きにくくもある一冊です。

転職は1億円損をする

さて、どこらへんから攻めようかと思ったのですが、やはり、このタイトルにふれないわけにはいかないでしょう。


この『転職は1億円損をする』というタイトル、事前に著者から聞かされた時点では、なかなかいい題名だと思いました。

新書というタイトル勝負のジャンルでは、これくらいインパクトがなければ目立たないし、「1億円」という具体的な金額が入っているのも、読者の興味をそそるはず。

しかし、同時に心配していたのは、どこから1億円という数字をひっぱってくるのか、でした。

新卒から同じ会社に勤め続けた人と、安易に転職を繰り返す人で、本当に1億円もの差がつくのか?――それは普通の読者なら、当然気にするところでしょう。


で、結論から言うと、「ちょっと無理しすぎ」。
これは著者の知人ということを割り引いても、突っ込まざるを得ないかと。

たとえば、この本では、転職なし/ありのサラリーマンの交通費を次のように計算しています。

・転職なし:津田沼在住、会社最寄り駅は新宿、交通費は全額支給の会社
→40年間で0円

・転職あり:那須塩原在住、会社最寄り駅は東京、新幹線料金コミの定期代を全額負担
→40年間で5751万400円

「転職あり」の人、こんなに交通費かかる時点で、普通なら、また別の会社に転職するんじゃありません? この計算は、まさに計算のための計算、タイトルとの整合性をつけるための「数字いじり」としか思えません。

残念ながらこういった極端な計算が、本書では他の部分でも見受けられます。


もっとも、作り手のほうは、そんなことは百も承知なようで。
すでに書評などでも取り上げていただいているとおり、「1億円」の算出の仕方については、少し極端な例も含めています。しかし、とくに読んでほしいターゲットに届けるには、このくらいのインパクトのあるタイトルが必要だと思いました。
『転職は1億円損をする』の著者に聞く 転職して損をしないか見極める方法
と著者はインタビューに答えています。

この本、早々と2刷が決まったということですし、いまのところ、作り手の思い(と狙い)は、読者に「まあ、これぐらいならアリなんじゃないの」と、受け入れられているのかもしれません。

ただ、個人的には、今回の本はタイトルがあまりに先行しすぎたように思います。

転職と同じで、「長い目で考えると」こういうタイトルづけが、今後の執筆生活において、ボディーブローのように効いてくるかも……


そうそう、忘れるところでしたが、このタイトルで著者がなぜ300万円損をするのか、その種明かしをしておきましょう。


①本書が、この「無理しすぎたタイトル」の影響で、これ以上増刷はしないと仮定すると……

この本の定価740円×印税率10%×総部数(2刷)13500部=総印税999000円

②同じ著者のヒット作『最高学府はバカだらけ』の部数が(現在55000部)、著者の本で最大限期待できる読者数だとすると……

この本の定価740円×印税率10%×期待部数55000部=総印税4070000円

*双方とも、便宜的に税込定価×印税率10%で計算。部数は著者ブログより


というわけで、著者はタイトルのおかげで、「300万円」印税をもらいそこねているかもしれません。

と、誰がどう見ても「数字いじり」の域をでないインチキ計算ですが、知人としては、こういう意地悪な外野の声(って、俺だけど)に負けずに、バンバン売れて、この試算を覆してもらいたいものです。


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by aru-henshusha | 2008-11-04 02:02 | 本・出版
c0016141_23335215.jpg僕が英語ネタなんて珍しいと思った方もいると思いますが、それもそのはず、今回は献本ネタでございます。

東大生が書いた つながる英文法

某書店でばったり会った、担当編集者の方からいただきました。

この本、正直言って、紹介するのに迷いがあったんです。
というのも、僕は学生のときから英語が得意なわけではないし、いまとなっては、英文法なんてほとんど忘れてしまっているので。

そんな僕がこの本の評価じみたことをしていいのだろうか、と思っていたのですが、よく見るとこの本、<英文法をイチからやり直したい中高生、社会人にピッタリ>と帯に書かれています。

どうやら、「英語オンチ」な僕も読者ターゲットの一人のようなので、安心して、自分なりに読んで感じたことを書かせていただきます。


さて、この本の特徴はいくつかあるのですが、一番大きなポイントは「(中学英語の)英文法の全体像をつかむ」というところでしょう。

c0016141_23494712.jpg(小さくてわかりにくいかもしれませんが)左の図が、その全体像です。

本書では、この図をもとに、まずは中学英語の全体像をつかむことにページが割かれます(といっても、たかだか20ページですが)

そして、読者の立場からすると、最初にこの全体像を学べるのは、二つの安心につながります。






第一の安心は、「全体像をつかむことで、何となくわかった気になる」こと。

「何となくわかった」と書くと、おいおいそれじゃマズいだろう、と思う方もいるかもしれません。
しかし、逆に最初から細かい文法を詰め込んでいくような本だったら、いきなりつまずく人も多いと思うんですよね。

その点この本は、最初に全体像をゆる~く紹介していて、読者が英文法を学ぶことの敷居を下げることに成功しています。

その分、僕みたいな英語オンチでも、そのあとのページを読んでみようかなという気になるのです。


次に第二の安心は、「全体像をつかむことで、自分がどこまで勉強したかわかる」こと。
これは、言いかえれば、「自分があとどれだけ勉強すればいいのか、わかる」ということでもあります。

この本では、英文法の知識を、「英文の幹」「飾り」「その他」まで分けています。

たとえば、自分が今日これから読むのが「時制」のパートなら、これを学べば「英文の幹」を学び終わるというのが一目でわかります。
(丁寧なことに、各パートの頭に、毎回、全体像が載っているのです)

1パート学ぶごとに、自分の達成度がわかるという点も、読者のやる気を増す、うまい仕掛けだと思います。


これ以外にも、文法のルールを丸暗記させるのではなく、「なぜそうなるのか?」を理解させる書き方や、ほとんどが2ページ見開きで進行するわかりやすい構成など、本書は英文法の本として、というより実用書として、非常にすぐれたつくりになっています。


ただ、一点だけ苦言を呈したいのが、タイトルです。

この本の正式タイトルは、

東大生が書いた つながる英文法
1週間で中学英語総ざらい

となっています。

そして、太字にした「1週間」に対する言及が、本書にはまったくありません。

もちろん、昔から出版界では「2時間でわかる~」とか「3倍速で●●できるようになる~」といった特に根拠もない数字をタイトルにつけるケースが多いのですが(僕もつけたことあります…)、本書の場合、中身がいいだけに、タイトルにももう少し丁寧さがほしかったように思います。

たとえば、1日目で第1章と第2章の導入編をマスター、後の「幹」「飾り」「その他」を学ぶ残りの3章を、それぞれ2日間ずつで学び、計1週間になる、といった構成上の整合性をつけてもよかったのではないでしょうか?

相変わらず同業者的な細かいツッコミなのですが、よい本ほど、かえってちょっとしたゆるみが目についてしまいますゆえ、関係者の方はご容赦ください。

なお、この延長でぜひとも高校英語編を作っていただくと、僕を含めて全国の英語オンチは喜ぶかと。



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by aru-henshusha | 2008-10-27 00:32 | 本・出版
c0016141_2272620.jpgこれから紹介する本は、著者の関係者の方からいただきました。

質問会議

「なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか?」

とサブタイトルにあるように、少し変わった会議の技法を紹介している一冊です。

うちの会社はダラダラとした「意見会議」が多いので、思わず読みふけってしまいました。
質問会議」の流れをざっと書くと、会議のメンバー全員で、<質問→回答><質問→回答>のステップを繰り返すうちに、議題が内包する「真の問題」があぶりだされ、それを参加者全員の問題ととらえなおし、最終的にはその問題を解決するための行動計画が決定されるというものです。

ぼんやりとした問題定義に対し、さらにぼんやりとした意見が出て、けっきょく何も建設的な提案がなされないという「ダメ会議」と違って、しっかりした行動につながるのがこのノウハウの利点でしょう。

また、「質問会議」には「振り返り」の時間があり、ここで会議自体の内容を再考することで参加者の思考力、問題解決能力が鍛えられるというメリットもあります。

というわけで、ここに書かれているノウハウ自体は、僕はかなり「使える」と思ったんですよね。


と、めずらしく絶賛モードで終了、といかないのが当ブログの悪い(いや、よい?)ところ。

僕は本書の内容にはそれほど疑問を抱かなかったのですが、むしろ、その体裁が気になってしかたないのです。

この本を読み終わったあと(いや、正確には、読む前からウスウス感じていたのですが)、僕は2つの質問を作り手の方にしたくなりました。

①なぜ、この本の大きさはA5判なのか?
②なぜ、この本の定価は1200円(税別)なのか?



①から説明しますが、画面ではわかりにくいでしょうが、この本はA5判というサイズです。
一般的な単行本の四六判よりも大きいサイズなんですよね。
(参考→本のサイズ(判型)と本の種類

でも、本を読む限り、A5判という大きさにする必要を感じないんですよ。

若干情報量の多い表が1~2点ありましたが、それらも四六判で表現できないレベルではないはず。

この内容であれば、A5判よりはかさばらない四六判で出したほうが、読者もより手にとりやすいと思うんです。


②は、①とも関連するんですが、A5判という図体のデカさのわりには、ビジネス書としては比較的安価な1200円(税別)という値段づけ。

だったら、ますます四六判・1200円で、<ライトなつくり>をアピールすればいいのでは?

サイズと値段の関係が、どうもアンバランスに感じるんですよね。


まあ、作り手には作り手の「正解」があったのでしょうから、これ以上はツッコミません。

ただ、言いたい放題言ったついでに自分なりの「正解」を書いておくと、この本は質問会議の事例をさらに1~2本追加、ページ数を増やして、四六判・200ページ・1400円~1500円という体裁でもアリだったように思えます。

関係者の方が、この体裁に込められた意図をご存知でしたら、「答え合わせ」もかねてコッソリ教えていただければ幸いです。


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by aru-henshusha | 2008-10-16 23:05 | 本・出版
c0016141_2215325.jpgいったん落ち着いた献本ラッシュですが、最近になって、また各方面から、ワサワサご本をいただいております。

今日紹介するのも、そのうちの一冊。

フォーカス・リーディング(以下、『フォーカス~』)

著者の関係者(という表記でいいかしら)からいただきました。


c0016141_2223634.jpg
で、最初はこの一冊のみについて書く予定でしたが、思うところあって、今回こちらの本も併読してみました。

あなたもいままでの10倍速く本が読める(以下、『フォト~』)

こちらは、フォーカス・リーディングとちょっと似た名前の速読法、フォトリーディングのノウハウを紹介した本(出版はこちらのほうが先です)

もともと売れていた本でしたが、有名著者の推薦などもあって、ロングセラーとなっている一冊です。

さて、ご紹介の前に一つ「白状」しなければいけないことが……

僕は今回、これらの2冊を読みはしました。けれど、そのノウハウを試してはいません。

正直、そういう状態でこれらの本の感想を書くのは、あまりよくないと思うんですよね。

本来だったら、それぞれの速読法をためして、どちらをよいと思ったのかまで書きたいところなんですが、さすがにそこまで時間を割ける状況ではなくて。
(逆に言えば、どちらの本もノウハウ習得には、それなりの時間がかかると思います)

ですので、以下に書くのは、実践をともなわない、不十分な感想です。
それでも関心があるという方は、続きをご覧いただければと思います。


さて、今回とりあげた速読本2冊は、かなり対照的です。

『フォーカス~』のほうは一言で言えば「想定の範囲内の速読本」
『フォト~』のほうは「想定の範囲外の速読本」

というのも、前者に書かれている速読のための「眼の使い方」や、「集中力の保ち方」などは、慣れるには時間がかかるんでしょうが、非常に常識的というか、「わりとすんなり納得できる方法論」なんです。

ところが、後者の「本のページ全体を脳に写し取り、時間をおいて必要な情報を抽出する」というノウハウは、こうやって書いていてもよくわからないように、ある意味「超人ワザ」っぽく感じられるんですよね。


もっとも、だから前者がよくて、後者のほうが悪いんだと言う気はありません。

僕の周囲にも、フォトリーディングの技法を習得した人はいますし、信じてトライすれば身につく人もいるのでしょう。

ただ、その「信じる」という最初の関門、本書の言葉を借りれば「パラダイムの転換を図る」段階で挫折しそうな人も多いのかなというのが、個人的な印象です。


ところで、これら2冊はすべてにおいて対照的というわけではありません。
どちらの本でも書かれていたのが、「読書の目的を意識することの重要性」です。

たとえば、『フォーカス~』には、本を読むにあたって、次の三つの条件をよく考えろと書かれていました。

①時間設定(Time)
②目的意識(Purpose)
③状況認識(Occasion)


今回、僕がこれらの本を読んだケースで言えば、

①時間設定(Time):土日のどちらか、仕事が終わったあと。
②目的意識(Purpose):ブログで感想を書く。
③状況認識(Occasion):書かないと、また献本の山が……

といった感じです。

『フォト~』のほうにも、このように上手にまとまってはいませんが、読書をする前に目的を明確に設定しろと書かれています。


というわけで、いつのまにやら「まとめ」に入っていきますが、この事前の目標設定が、速読、あるいは普通の読書においても、大事なんだと思うんです。

たとえば、仮にすごい速読テクニックを身につけたとしても、「それじゃあ、図書館にある本片っ端から読んでいくか」となっては、あまり意味がないですよね。

そもそも、最近、速読や読書術の本がこぞって出されているのは、<目にする情報(本も含む)がやたら多い現代において、どうやったら必要な情報を効率的に得られるのだろう>という悩みに答える意味があってのことだと思います。

だからこそ、その本を読む意味を考えることが、速読・読書の根本に必要なはずです。

そう考えると、究極の速読法は「読まなくていい本を、どれだけ事前にハネられるか」にかかっているのかもしれません。

今回いただいた『フォーカス・リーディング』は、その思想を「フォーカス」の一語で表わしている時点で、オーソドックスだけれど、非常にまっとうで意義のある一冊になっています。


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by aru-henshusha | 2008-10-06 23:13 | 本・出版

c0016141_2155539.jpgお~、これでついにたまっていた献本の山から解放されそうです(他にいただいてた本、ないですよね?)

マジマネ5 部下の「やる気」を育てる!

は担当編集の方からいただきました。

著者のブログ、モチベーションは楽しさ創造からを愛読している身としては、うれしい一冊です。

さて、めずらしく本全体の感想を述べようと思ったのですが、これはこの本の出版元の社長、干場さんのお言葉を借りたほうが早いでしょう。

「特に目新しいことが書いてあるわけではありませんが、一応上司歴四半世紀のわたくしからみても、必要なことはみんな簡潔に押さえられている、一冊手元にあると重宝な一押し上司本です!」この記事より引用)

と、シリーズの性格もあるのでしょうが、予想以上にオーソドックスな一冊でした。


まあ、全体論はそれぐらいにして、個人的に目を引かれたのが、以下に紹介するフレームワーク(と流行り言葉を使ってみたけど、意味違うかも…)

●「やりたくない」が「やるぞ!」に変わる5ステップ

1 「やりたくない」「現状を変えたくない」
       ↓
2 「今のままではまずい」
       ↓
3 「変化するとこんないいことがある」
       ↓
4 「自分ならば変化できる」
       ↓
5 「よし、やるぞ!」


上司(リーダー)の役割の1つには、部下にこのステップを踏ませるためのサポートをすることがあるというわけです(その具体的な方法は本書の中に書かれています)


さて、いまだ部下がいない平社員の僕としては、今回、この5ステップを応用して、自分のやる気を引き出してみました。

題して、最近、更新がガタ落ちな当ブログを書くための、
「ブログ書きたくないぁ」が「書くぞ!」に変わる、魔法の5ステップ


●「ブログ書きたくないぁ」が「書くぞ!」に変わる、魔法の5ステップ

1 「やりたくない」「現状を変えたくない」
(忙しいんだよなぁ、明日朝までに原稿入れないとマズイんだよなぁ<実話です>
       ↓
2 「今のままではまずい」

(でも最近更新してないよなぁ、ネタも献本もたまる一方だしなぁ、アクセスも落ちてるしなぁ)
       ↓
3 「変化するとこんないいことがある」

(更新したらいろいろな人に読んでもらえてうれしいよなぁ、ネタも献本も紹介できるしなぁ)
       ↓
4 「自分ならば変化できる」

(書こうと思えばブログなんてすぐ書けるし、原稿整理もチャチャッとできるでしょう)
       ↓
5 「よし、やるぞ!」

(よし、ブログ書きます!)

というわけで、この5ステップを脳内でシミュレートし、見事ひさしぶりに当ブログを更新できました。

もっとも、原稿整理はそこまでチャチャッとはいかず。
そこらへんの読みの甘さが、人の上にたつ人間とは程遠いようです……


●オマケ
あまり他社を利するのも何なんですが、本書をアマゾンで買うという人は、今日明日で購入するとお得だそうです。

部下の「やる気」を育てる! アマゾンキャンペーン

キャンペーンのことを何も言わない担当さんの奥ゆかしさにほだされ(?)、つい紹介してしまいました(著者のブログのファンというのもありますが)

ただし、キャンペーンがあるので○日に絶対紹介してください!的なことを言われると、かえって紹介したくないんですよねぇ(そもそも僕、他社の人間ですし……)


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by aru-henshusha | 2008-09-24 22:37 | 本・出版
c0016141_2371578.jpg献本ものが続きます(本書も担当編集の方からいただきました)。

バイバイ

HYというバンドのボーカルの方が出された詩集です(第一弾の『あなたへ』もメチャメチャ売れてます)。

詩集はあまり読まないし、私生活でも「バイバイ」されっぱなし(?)の僕としては、読むのがつらいかもなぁとも思ったのですが、これがとてもいい本で。


最初は気に入った詩(or詞)を紹介しようと考えていたのですが、次のエピソードを読んで気が変わりました。
僕が紹介するとしたら、やはり、これしかないだろう、と。

(「永遠に」とか「ずっと一緒にいようね」という言葉を使いがちだった著者に、そういう言葉を言ってあげたいけれど、嘘はつきたくないと、彼氏が言ったときの話)

 初めて言われた時、私は彼の言った言葉の意味が一瞬わからなくて泣いてしまいました。でも、彼はすぐにこう続けて言いました。
「今は二人共愛し合っているけれど、この先何があるか、誰にもわからない。もしかしたら、いずに好きな人ができるかもしれないし、オレに好きな人ができるかもしれない。今は好き合っているから、今の気持ちだけで『ずっと一緒にいようね』って言うことはできるけど、本当にそれでいいのかな?『ずっと一緒』ってそんなに簡単に口にしていい言葉だとは思わない。だから、今は言いたくない。本当にお互いに理解し合えて、尊重して、生涯共に添いとげられる相手として、心から愛してると言えるようになってから言いたいんだ
 彼に言われてから私は思いました。この人は、ちゃんと言葉の持つ力を知ってる人なのかもしれない。彼にならついて行きたいなと。
この彼の言葉を「理屈っぽい」と思った女性(男性)もいるかもしれません。
けれど、こういう理屈、僕は好きなんですよね。

著者は、彼のことを「言葉の持つ力を知ってる人」と書いていますが、僕の言葉でいえば、彼は言葉に対しても、その言葉を投げかける相手に対しても誠実なんだと思います。

じつは、それは僕がひそかに目指していることでもあったりして。


僕は「編集者」という、言葉を扱う職業についたときから、できるだけ言葉に対して誠実でありたいと思っています。
むろん、本のコピーなどであおったりするときはあるのですが、それもいちおう分をわきまえて。

たとえば、著者と話すとき、僕は件の彼氏のように、「簡単に言ってはいけない言葉を、簡単に言わない」ように気をつけています。

たとえ、それが一時、著者を喜ばすとしても、あとから一瞬で「キャンセル」しうる喜ばせ方を、僕はしません。


同業者の中には、僕と正反対な言葉の使い方をする人もいます。
その場のノリで、著者を持ち上げるだけ持ち上げて、何の根拠もない約束をして、風向きが変わったらもう目もくれない。

それでも、そのときが楽しかったのなら、いいじゃないか。

なるほど、そういう言い方・生き方もあるとは思います。
でも、僕はそういうふうには言えないし、生きたくもない。


恋愛の話に戻しましょう。

「ずっと一緒にいようね」と簡単に言える男(女)を、僕は信用しません。
その言葉には、使いどきがあると思うし、やはり、一生に何回も言える言葉ではないと思うから。

どれだけの人に共感してもらえるかはわかりませんが、僕にとっては言葉を大事にできる人こそが、人を大事にできる人なのです。


『バイバイ』には、言葉を大事できる人だけが、人を大事にできる人だけが、書ける言葉が詰まっています。



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by aru-henshusha | 2008-09-16 00:13 | 本・出版
c0016141_2231946.jpg担当編集者から献本いただきました。
だいぶ時間があいてしまったので、ひたすら申し訳ないです。

私鉄探検

さて、本書は一言でいえば「私鉄の沿線文化」を取り上げたガイドブック。

取り上げられている私鉄沿線は、西武、京王、京急、近鉄、阪急・阪神などですが、何を隠そう、僕は西武線沿線の生まれなんですよねぇ。


くしくも本の第1章が「西武鉄道」について書かれていて、期待と不安(?)を胸に読み始めたのですが……


読んで改めて思ったのは、「私鉄」って「私(たち)の鉄道」なんだなぁということ。

僕の例でいえば、子供のころから他の電車の沿線に引っ越すまで、とにかく西武線ばかり乗っていたんですよね。
とくに、大江戸線が開通するまでは、西武(池袋)線沿線の人って、盛り場が基本的には池袋しかなくて、買物するにも映画観るのも、黄色い電車に乗り込んで。

だから、西武線(沿線)には愛着があるんです。
その分、この本には「人より楽しめるところ」と「人より楽しめないところ」が同居していて。


たとえば、本書では西武線を語るのに「キャラクター」というキーワードを持ち出して、手塚治が長い期間西武線沿線に住んでいたとか、所沢のあたりの地名や風景が「となりのトトロ」のモデルになっているとかといったエピソードが語られます。

それらの話に、「ああ、あそこね」とか「知ってる、知ってる」と膝を叩く自分もいるのですが、同時に、臨死!!江古田ちゃんで注目されだした江古田駅についても書いてほしかったなぁとか、そもそも池袋の街の変遷とかも興味があるんだよねぇ、と思う自分もいて。

それもこれも、「私の鉄道」にまつわる本だから、ついつい気になってしまうと思うんですけどね。
その意味では、本書を純粋に楽しめるのは、もしかしたら「公鉄(?)っ子」なのかもしれません。


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当ブログへの「献本ルール」を、ここらでハッキリ決めようと思います。
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by aru-henshusha | 2008-09-15 22:54 | 本・出版