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ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

編集術を、「ザ・エージェント」に学ぶ。

編集術を、「ザ・エージェント」に学ぶ。_c0016141_021138.jpgえ~と、これは思いっきり、仕事関係の話です。
このブログ、アクセス解析によると、けっこう同業者の方が読んでいるようなのでね。
たまには、そういう人向けの話もしようかなと。

このあいだ、『ザ・エージェント』という本を買ったんですよ。
ご存知かもしれませんが、著者の鬼塚忠さんはアップルシード・エージェンシーという作家のエージェント会社の代表の方。
この会社、設立三年間でベストセラー(5万部以上)を12冊作ったということで、業界内(の一部?)では注目されています。
ちなみに、おとといのガイアの夜明けでも紹介されていました。

で、僕がこの本を買ったのは、べつに読みたかったからじゃないんですよ。
ただ、いろいろ仕事上の付き合いがありましてね。
まあ、「顔をつないでおく」ために、というきわめて打算的な理由で買ったんです。

実際、この本って読むところ少ないんですよね。
エージェーントという職業の説明とか、鬼塚さんがエージェントになった理由なんて、ビジネス・実用書の編集者としては、読まなくてもまったく問題ないので。
正直、第3章の「ハウツー系作品で時代を追う」だけおさえておけばいいかなと。

この章では、鬼塚さんが和田裕美さんやら加藤昌治さんといった著者をどうつかまえて、どんなふうに本作りを進めていったかが書かれています。
もっとも、そこらへんの事情も、ずいぶんサラッとしか書かれていないので「出し惜しみ」感は非常に強いんですけれど。
もともと192ページの本だし、これで1500円とは高い本だな~という印象です。

それでも、勉強になった点がいくつかあったので、ポイントを以下にまとめます。

1 著者選びは「その分野で誰が一番か」ではなく、「誰が一番有望か」を基準に考える
2 企画書は新聞記事と同じ。定型を決めず、相手をひきつける事実から書いていく
3 「書きたいものを書く」と「マーケティングに基づいて書く」ことを融合し、「著者の強みをいかに社会に還元できるか」という観点でテーマを選ぶ


3の手法などは、当然といえば当然かもしれませんが、なるほどな~と思いましたね。

もっとも、これらの技術というのは、本来なら編集者が身につけていなければならないことばかり。
編集者に元気がない分、「出版エージェント」やら「企画のたまご屋さん」みたいな商売も成り立つんでしょう。
僕ら、編集者も、もちっと気張って働かなきゃいかんなということで。
みなさん、がんばりましょう。
by aru-henshusha | 2005-03-17 00:21 | 本・出版