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by aru-henshusha

起業したい! そんなあなたに『起業バカ』。

起業したい! そんなあなたに『起業バカ』。_c0016141_2316331.jpg編集者のブログらしく、たまには読んだ本の感想でも。

最近読んだ本のなかで、一番面白かったのが、この『起業バカ』。
タイトルとは裏腹に、起業の暗部を豊富な事例をあげて紹介した、まじめな本である。

そもそも僕は、いまの起業ブームを冷ややかな目で見てきた。
仕事柄、その手のセミナーに顔を出したりもしたのだが、自分の事業の成功を夢見る起業家(予備軍)たちの「純粋さ」に辟易することも少なくなかった。

彼らの多くは、自分の将来に、これっぽっちも疑いを抱いてない(ように見える)。
きっと、どこぞの起業家の本に、そういう心がけでいろとでも書かれているのだろう。
手帳に書いたり、日記に書いたりするだけで、夢は絶対に叶うと信じている人もいる。

もちろん、何を信じ、どんな人生を送るのも個人の勝手だ。
だけど、そういう「信心」が、必ずしも報われるとは限らないのが、起業の世界である。

この本を読んで思ったのは、「起業バカ」に共通するのは「信心」だということだ。
自分(の能力、成功体験)への信心。会社の出資者への信心。フランチャイズ本部への信心。

例をあげればキリはないが、それらの信心が強ければ強いほど、正常な判断がきかなくなる。
そして、将来性のない事業を起こして失敗したり、会社が大きくなりかけたところで出資者に乗っ取られたり、きわめて不利な条件でフランチャイジー契約を結んだりするわけだ。

起業を考える人は、「性善説」や「楽観」は捨てたほうがいい。
それが無理なら、少なくとも、心の中に「性悪説」や「悲観」をも飼う余地がほしい。
自分の起業を応援しようという人より、それを邪魔したり、食い物にしようという輩のほうが多いのだ。

能天気に「夢」や「成功」だけを説くビジネス書は、本当の意味で有益とは言いがたい。
まぶしい「光」ばかりを見せられても、人は目がくらむだけである。
by aru-henshusha | 2005-05-06 23:52 | 本・出版