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ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

本を売るのに大事なのは、質か? 時期か?

昨日、エライ著者もいれば、エラクナイ著者もいる。という記事を書きましたが、この文章に対するコメントで、「締め切りを守る」のも「エライ著者(あるいはいい著者、プロの著者)」の条件ではないかという指摘を多数いただきました。

たしかに、質の高い原稿を、締め切りまでに書き上げていただけるなら、素晴らしい著者だと思います。
しかし、実際に執筆依頼をすると、そううまく事が運ばないことも多いです。

そこで、この記事の見出しのような疑問、というか迷いが出てきます。

そもそも、単行本の世界は、雑誌と比べると締め切りの自由度は多少は高いです。
が、なかには、どうしてもこの時期に出したいという本もあります。

たとえば、特定のイベントと関連性がある本は、出版時期が限定されます。
最近だと「万博」関係の本などが最たるものでしょうか。

極端な例ですが、「万博」が終わってから「万博ガイドブック」を出しても意味がないですよね。
その手の本はイベントが始まる前、せいぜい始まった直後あたりに出すものでしょう。
そういう意味で、この「縛り」はかなり強固です。

けれど、いろいろな事情が重なり、原稿の質も含めて「やっつけ仕事」でやらないと、本がその時期には出ないということもありえます。
このとき、本の質をとって何とか時期を遅らすのか、本の質が低いのを承知で出版時期をとるのかという二つの選択肢があります。

僕が見聞したかぎりでは、正直、どちらを選ぶのが正解とは言い切れません。

本の質のために出版時期を遅らせたら、類書が先行していて売れなかった。
逆に、質の低いままエイヤっと出版したら、読者もそれを見抜いたのか売れなかった。

どちらもありえる状況で、かつ簡単に予想できるものではなく、結果論でしか語れないかと思います。

長々書きましたが、こういうことを考えると、「質の高い原稿を、締め切り時期を守って書き上げる著者」の存在が、本当にありがたく思えます。

もっとも、締め切り時期については、出版サイドが無理を言う場合もありますから、著者にだけ責任を負わせる問題でもないところではありますが。
by aru-henshusha | 2005-05-13 11:48 | 本・出版