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ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

出版は商売であり、文化でもある。

編集者というのは、やっぱり同じような悩みを抱えているもんだなと、下の記事を読んでつくづく思った。

文芸編集者(書籍編集者の裏ブログ)

ちょっと長いのだけど、キモの部分を引用する。

かつて新卒でいきなり月刊誌に配属されたとき、30歳の先輩編集者にこんな質問をしたことがあります。出張校正から帰るタクシーの中でした。
「新人賞の応募作品で85点のすばらしい作品があった。70歳の方の作品だった。また、18歳にして70点の作品もあった。どちらを最終候補に残しますか」
彼はノータイムで、
「18歳の方」
と答えました。今では、私もそう思いますが、当時は、「機会均等の原則」に反していると思って、憤慨した記憶があります。18歳なら20年以上活躍できる、70歳なら何作も書けない、というのが先輩の論拠です。かなりの資本を投下して新人を生み出す以上、長く、出版界に貢献してくれる可能性が高い方がいいというのです。マスコミの取り上げ方も、若い方が大きく取り上げてくれるというのです。


この先輩の言うことは、商売人として、非常にまっとうである。
同じ資本を投入するのなら、見返りが多いほうに投入するのは、商売の原則だろう。

だけど、「商売」でなく「文化」という視点で見ると、導き出される答えは違ってくするはずだ。
作品の素晴らしさを知りつつゴミ箱に捨てるのは、ある意味「犯罪」である。

僕は文芸の編集者ではないから、引用した例以上に、「商売」を優先させなければならない立場にいる。
でも、ときどき、「商売」に染まりきっている自分に対して、ひどくむなしさを覚える。

自分がいままで愛読してきた本は、すべてが、単なる「商売」だったのか。
いや、それは「否」である。

じゃあ、自分にもそういう本を作ることはできるのか?

「できる」と言いたい。

本当に、そう言いたいのだけど。
by aru-henshusha | 2005-06-01 00:32 | 本・出版