著者営業について、編集者の立場で考えてみる。
2005年 07月 30日
いま、僕の知人のライター石渡君と、同じくライターの小川さんという方が、「著者営業」について、ブログ上で意見を交換されています。
著者営業を考える、著者営業を考える【その2】(石渡嶺司のライター日記)
超一流ライターから学ぶ 著者営業の真実
(writerism たった一人のライター修行)
で、いきなり結論じみたことを言えば、どちらの意見にも耳を貸すべきところはあるでしょう。
また、ポイントによっては、「それぞれの好みの問題かな」とも思います。
よって、僕はお二人の意見に優劣をつける気はありません。
ただ、お二人のやり取りを読んで、編集者の立場でいくつか付け加えたいことがあります。
1 書店に営業して、さらに配置場所まで口を出す
これは、編集者というより営業の視点で言うのですが、著者直々の書店営業には少々「リスク」があります。
著者であるかぎり、自分の本の配置場所にはこだわるのが当然です。
しかし、その本の配置は、すでに版元の営業が口を出していることもあれば、類書とのかねあいなど、色々な要素がからんで決まったことでしょう。
それらの過程を無視して、著者が好き勝手なことを言った場合、書店員の心証を害することは必至です。
そうなると、著者ひいては版元に対するイメージも悪くなりかねません。
このリスクを考えた場合、版元の営業に任せる、あるいは版元の営業を通じて働きかけるほうが無難かなと考えます。
2 版元から割引購入して、サイトなどで定価販売
これについては、著者購入とはいえ一定数がはけるわけですから、編集者としては喜ぶべきことでしょう。
ただし、余計な心配をすれば、著者が在庫をかかえこむことにもなりかねないわけで、むしろアマゾンや版元のHPにリンクしておいたほうがいいのかもしれません。
3 交流パーティーなどで、売って回る
これは正直、個々人のセンスの問題かと。
石渡君のように、交流会を主催する方が、この行為を禁じたい気持ちはわかります。
僕が幹事だったとしても、「まあ、いまは仕事のことは忘れて楽しく飲もうよ」と思うでしょう。
ただ、ようは度合いの問題で、売られたほうが迷惑にならない程度の営業活動なら、目くじらを立てなくてもいい気はします。
もっとも、こればかりは相手の感じ方の問題ですし、書店営業同様、「リスク」を負う行為ではないでしょうか。
最後に、僕はお二人のように、著者が「営業」について真剣に考えていらっしゃることを嬉しく思いますし、同時に、編集者や営業ががんばって著者に「営業」について心配させないのが理想かなとも考えます。
本の売れ行きにかかわらず、毎月給料をもらって暮らしている僕が言えるのは、それぐらいのことでしょう。

