文学賞の「民主化」は、賞のレベルを落とすのか?
2005年 10月 18日
(ともにYOMIURI ON-LINE)
ちょっと長いですが、転載します。
――文学賞を読者や書店員など一般人が多数決で選んで“民主化”した方がいいという意見もあります。
山田 書店員さんがいい本を売りたいと思って本屋大賞とか作るのはいいことだけれど、読者に選んでもらうのと、作家が作家を選ぶことは全く別。選考委員が賞を選ぶ場合、委員側も試される。酒場でどの作品が良かったって多数決で決めるのとは次元が違う。
桐野 今は“選民”によって選ばれているということなんですかね。
町田 王や貴族を追い出して民衆が王宮に住んで王と同じことを始めるといいますね。
桐野 衆愚政治ですね。
町田 読者のアンケートを非常に重視する編集部があると聞きましたが、仮にアンケートの順位が下がらないように分かりやすさだけを心がけて書くと小説としての水準はやはり下がると思います。
こと文学においては、こういう意見があってもいいでしょう。
ただ、本屋大賞に代表される「民主的」文学賞と旧来の「権威的」文学賞は、狙いから何からまったくの別物かと。
両方、それなりの意義があるんだと思いますがね。