本を一冊つくるたびに、自分の努力が無駄ではないかと心配になる。(ヒトリゴト32)
2006年 01月 29日
久しぶりにヘビーな風邪をひいてしまい、食事以外はずっと寝っぱなしであった。
きっと、その前の徹夜が響いたのだろう。
遊びならまだしも、仕事の徹夜は後に残る。
できることなら、今日も一日中ゴロゴロしていたかったのだけど、そういうわけにもいかない。
2月に出る本のゲラを読み込む仕事が、まだ残っている。
ページのズレもかなり発生しているので、その調整もしなければいけない。
思えば、この本の編集のために、去年の暮れから相当な時間を費やしてきた。
仕事終わりの日から仕事初めの日まで連日原稿を催促して、初出社の日から即入稿。
以降、平日・土日も関係なく、ほとんどの時間をこの本の編集作業に費やした。
しかし、それだけの努力が報われるかどうかは、はなはだ疑問である。
編集者の努力と、本の売れ行きは、必ずしも比例するものではない。
編集者がどんなに頑張ってつくった本でも、読者が「いらない」と思えばそれでおしまいである。
逆に、編集者が適度に手を抜いて(あるいはアウトソーシングして)つくった本でも、売れるものは売れる。
編集者の努力は、良書の必要条件ではあっても、売れる本の必要条件ではない。
本を一冊つくるたびに、自分の努力が無駄ではないかと心配になる。
今回の本のように、その努力が並大抵のものではない場合はなおさらだ。
自分のいままでの努力をあざ笑うかのように、この本がドドっと返本されたらどうしよう。
ゲラを眺めているあいだも、そんな思いが頭をよぎる。
もちろん、こんなことをいくら心配しても仕方がないのは、十分わかっている。
すべては市場(=読者)が決めることだ。
僕ができるのは、市場にたいして恥ずかしくない本を出すために、あともう一頑張りすることだけである。
私事:そんなわけで、しばらく仕事に集中します。