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ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

本を一冊つくるたびに、自分の努力が無駄ではないかと心配になる。(ヒトリゴト32)

金曜日、土曜日と、ほとんどベッドの上で過ごしていた。
久しぶりにヘビーな風邪をひいてしまい、食事以外はずっと寝っぱなしであった。

きっと、その前の徹夜が響いたのだろう。
遊びならまだしも、仕事の徹夜は後に残る。

できることなら、今日も一日中ゴロゴロしていたかったのだけど、そういうわけにもいかない。
2月に出る本のゲラを読み込む仕事が、まだ残っている。
ページのズレもかなり発生しているので、その調整もしなければいけない。


思えば、この本の編集のために、去年の暮れから相当な時間を費やしてきた。

仕事終わりの日から仕事初めの日まで連日原稿を催促して、初出社の日から即入稿。
以降、平日・土日も関係なく、ほとんどの時間をこの本の編集作業に費やした。

しかし、それだけの努力が報われるかどうかは、はなはだ疑問である。

編集者の努力と、本の売れ行きは、必ずしも比例するものではない。
編集者がどんなに頑張ってつくった本でも、読者が「いらない」と思えばそれでおしまいである。

逆に、編集者が適度に手を抜いて(あるいはアウトソーシングして)つくった本でも、売れるものは売れる。

編集者の努力は、良書の必要条件ではあっても、売れる本の必要条件ではない


本を一冊つくるたびに、自分の努力が無駄ではないかと心配になる。
今回の本のように、その努力が並大抵のものではない場合はなおさらだ。

自分のいままでの努力をあざ笑うかのように、この本がドドっと返本されたらどうしよう。
ゲラを眺めているあいだも、そんな思いが頭をよぎる。

もちろん、こんなことをいくら心配しても仕方がないのは、十分わかっている。

すべては市場(=読者)が決めることだ。

僕ができるのは、市場にたいして恥ずかしくない本を出すために、あともう一頑張りすることだけである。

私事:そんなわけで、しばらく仕事に集中します。
by aru-henshusha | 2006-01-29 12:13 | 不定期なヒトリゴト。