「Googleブック検索」で、得をする出版社はどこなのか?
2006年 05月 12日
「Googleブック検索」日本の出版社からの登録受付を開始(INTERNET Watch)
これと似たサービスで、すでにAmazonの「なか見!検索」はすでに運用されています。
読者にとってはネットで「立ち読み」ができるからいいでしょうけど、正直これらのサービスで、出版社は得をするんでしょうか?
一編集者としては、そちらのほうが気になります。
で、僕の足りない頭をひねって考えてみたのですが、現時点で次のことだけは言えそうです。
すなわち、「Googleブック検索」や「なか見!検索」で、売り上げが伸びる本もあれば、逆に落ちる本もあるのではないかということ。
「リアルな店舗にWebサービスが近づいた」 Amazon.co.jpの「なか見!検索」(ITpro)
上の記事には、
ユーザーがオンラインで書籍を買わない理由の1つには、「内容を確かめられない」というのがあると思う。
という一節があります。
それはもっともだと思いますが、じつはその逆のケースもあるのかもしれません。
すなわち、
「内容を確かめられない」からこそ、とりあえず買うしかない本がある。
ということ。
たとえば、ビジネス上差し迫った理由があって、入手する必要があるテーマの本。
本当は一部の情報しか必要ないんだけど、切り売りされてないので一冊丸々買わなきゃいけない本。
こういった本は、「内容を確かめられない」時代は、出版社の名前、著者の名前、レビューなどの情報を参考に「エイヤッ!」と買っていた人もいるように思うのです。
でも、「内容を確かめられる」時代には、必要なテーマの本なら、ブラウザ上で読者は類書と中身を比べるでしょう。
一部の情報しかいらない本は、そこだけ「立ち読み」して、場合によってはメモをとって済ますかもしれません。
この推測が正しければ、一部の本はやっぱり売り上げが落ちるでしょう。
(その額は微々たるものかもしれませんが)
僕には、「Googleブック検索」や「なか見!検索」で得をする出版社はどこなのか、正直わかりません。
ただし、その版元の商品のラインナップによっては損をするところもあるでしょう。
また、おなじ出版社でもモノによって得したり、損したりということもありえます。
そんなわけで一編集者としては、このサービスには過大な期待もしてないし、すごい恐怖感を抱いているわけでもありません。
最後に、ITproの記事から、Amazonコンテンツ開発統括部長の発言の抜粋を。
具体的な数字はいえないが、なか見!検索の導入後、書籍全体の売り上げにじわじわと底上げ効果が見られる。
「じわじわと底上げ効果」って、微妙な口ぶりですなぁ……