『電車男』と『今週、妻が浮気します』/編集者は素人か?
2005年 01月 27日
中央公論新社から、「今週、妻が浮気します」という本が出たようだ。
現物を見ていないので下手なことは言えないが、この本も「電車男」同様、掲示板のログをほとんどそのまま流し込んでいるのではないか。
だとしたら、かなり安直な企画である。
なかには、これらの掲示板発書籍ブームに、編者者の質の低下を見る人もいる。
今週、妻が浮気します(雅楽多blog)
「いつごろから編集者は単なる企画屋になってしまったのか。編集してくださいよ、たのむから……」という指摘は手厳しい。
とはいえ、(他人の文章をいじくったりする以前に)売れる素材を探してきて企画を立てるのは、りっぱな編集者の仕事である。
その意味で、「電車」や「浮気」に目をつけた編集者は、売上に応じた正当な評価をされるべきだ。
しかし同時に、その程度の思いつきは、多分、多くの素人さんが考えついていたことでもある。
『電車男』の例で言えば、ウワサの?郡司さんが企画を出せる立場にいたから、彼女が本を作っただけであって、彼女以前にその面白さに気づいていたネット・ウォッチャーは、数千人、数万人といるはずだ。
ようは、「企画を出せる立場にいたか、いなかったか」だけの話である。
こういう言い方はしたくないが、編集者というのは、ある意味、「素人以上に素人」である。
斬新な企画を出せる編集者は思いのほか少ないし、残念ながら、そういう本ほど売れなかったりする。
だから、しばらくの間は、このての本が続けて出版されるかもしれない。
オリジナリティある本を期待する読者には悪いが、少しの辛抱である。
どうせ、いつかは飽きるのだから。