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ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

編集者は、「帯」が取られた後のこともよく考えたほうがいい。

というか、自分自身、よく悩んでいることなのですが。

以前、買った本の「帯」、どうしてますか?(いくつか追記あり)という記事を書いたとき、本の「帯」をすぐ捨ててしまう人が思いのほか多い印象を受けました。

ところが、多くの編集者は、本のデザインを「帯あり」の前提で考えています。
なので、いったん帯を取ってしまうと、カバーデザインがイマイチだったということもよくあります。

・実例1『図解!会社にお金が残らない本当の理由』編集者は、「帯」が取られた後のこともよく考えたほうがいい。_c0016141_23322872.jpg編集者は、「帯」が取られた後のこともよく考えたほうがいい。_c0016141_23323881.jpg
この本は本来、左のように発色のいい緑色の帯がつきます。
この帯があることで、カバー全体がしまって見える。

でも、その帯の下には、カバーの上半分同様、オレンジ色がしかれているだけなのですね。
だから、帯を外すとちょっと情けないデザインになってしまう。

・実例2『遺品整理屋は見た! 』
編集者は、「帯」が取られた後のこともよく考えたほうがいい。_c0016141_23422520.jpg編集者は、「帯」が取られた後のこともよく考えたほうがいい。_c0016141_23414977.jpg
ちょっと見えにくいと思いますが、この本は帯を取ったあとの違和感を解消しようと、カバーの下半分に見出しをずらりと並べています。
もともと帯の面積が広いですから、その「跡地」を目立たせないための策なのでしょう。

とはいえ、「帯あり」のインパクト・完成度からいうと、「帯なし」のカバーは正直弱いと思います。


最近の本は、実例2のように、やたら帯の面積が広かったり、著者の写真が刷り込んであったり、どっちがタイトルだかわからないようなコピーが入っていたり(→参考)、帯に対する依存度が高いものが多いです。

けれど、読者が帯を捨てることもあれば、リアル書店が帯を取ったり、帯なしの画像がオンライン書店で使用されること(のほうが多い)もあります。

帯に力を入れれば入れるほど、同時に「帯なし」のカバーデザインにも気をつかう必要性があるように感じています。
by aru-henshusha | 2006-10-28 23:55 | 本・出版