職業小説家に必要なのは、1日10枚程度を書ける力。
2007年 01月 25日
*注 新しい日記が書かれると過去の日記が消されるようなので、お早めに
いいですか。職業小説家は、文字通り職業として毎日原稿を書きます。締め切りに追われて、原稿を書きます。もともと適性があったから、小説を書くことが職業として成立するわけですが、内的衝動はともかく、技術的にはどんどん巧みになっていきます。なにしろ、毎日、凄い勢いで書きまくっているからです。職人仕事的な側面が多分にあるのが文筆業ですから、時間がたてばどんどん熟達していくのです。当ブログには、しばしばプロの書き手が訪れていますので、花村さんの言葉をどう受け取られたのか、聞いてみたいですね。
あなたは生活のための仕事を終えて疲労困憊、もう眠ってしまいたい、あるいは知り合いと飲みに出かけたい、そういったありとあらゆる思いを断ち切らねばなりません。なにしろ、いま、あなたがアルバイトをしているときも、職業小説家は書いて、いるのです。最低でも、あなたに倍する枚数を書いている。せめて枚数的にでも、職業小説家の書く枚数に追いつかなければ、あなたはおそらく永遠に、少なくとも技術面において職業小説家に追いつくことはむずかしい。
あなたが速いライダーであるとしても、それでもまだあなたはプロのレーサーではないのですから、とにかく書きましょう。能書きは不要。たくさん書いた者が勝ちます。それも愉しみながら書けなければ意味がありません。
私は、あなたに一日に最低でも七枚書くことをすすめます。毎日、必ず十枚書けるなら、頼もしい。他に仕事があるから、家庭のあれやこれやがあるから、そういった言い訳は通用しません。ハンデは一緒だったのですよ。職業小説家もアマチュア時代を経てきているのです。そして、アマチュアのときには、眠い目をこすって執筆を続けたのです。
極論してしまいますが、一日に十枚程度も書けない人(書くことがない人)は、残念ながら遅いライダーなのではないかと思います。なにも小説だけがすべてではありません。他の、自分に適したなにものかをさがしたほうがいいと思います。
また、違う日の日記には、こんなことも書かれています。
2007/1/9 15:38
執筆中に肉体的苦痛を覚えるのは当然のことです。なにしろ、じっとしていなければならないのですから。う~ん、これは小説家以外の職業にも当てはまるのかもしれません。
けれど、精神が苦痛を覚えているとしたら、問題です。
途切れがちな集中力を無理遣り執筆にむけるというのは、とてもまずい。
執筆していて精神的に努力している、無理をしている、頑張っているというニュアンスに陥るようでしたら、小説家としての適性を疑ったほうがいいでしょう。
執筆中は冷徹な高揚感が持続しなければなりません。つまり精神は苦しみと無縁でなければなりません。今年は、このあたりのことを執筆中の自分自身に、常に問いかけてみてください。
まあ、そんなことを言ったら、僕なんて「編集者失格」のクチかもしれませんがね……