『クチコミの技術』に書いてあった、当たり前だけど一番大切なこと。
2007年 03月 31日

クチコミの技術
ついに増刷もかかったらしい。
おかげさまで販売好調な『クチコミの技術』の増刷が決まりました!
僕もようやく読了したので、感想(というか、メモ書き程度だけど)記事をアップしようと思う。
この本は、タイトルどおり、ネット(特にブログ)上で、「クチコミを起こす技術」について書かれたものだ。
それも、実際にネット上のクチコミで話題になった事例を豊富に紹介しているので、非常に実践的である(あ、いかにもビジネス書編集者っぽい感想)。
でも、僕がこの本で一番印象に残った部分は、じつは、ちょっと違うところなのだ。
それは、むしろ「クチコミ」以前の心構えみたいなもの。
ちょっと考えればわかることですが、商品やサービスが“いいもの”でないとクチコミは起こりません。自分が買ったり試したりしたものを「誰かに伝えたい」と思わなければ、そもそもクチコミは起こらないからです。そして、商品やサービスについてエントリーが書かれても、それを見た人が「これは面白いから誰かに伝えよう」とか「自分も買って使ってみようかな」といった行動を起こさなければ意味がありません。ここに引用したことは、とても「当たり前」のことだと思う。
(中略)
“いいもの”ではないものに対して、無理やりクチコミを起こすことはできないのです。
(同書167ページより)
でも、同時に「当たり前」すぎて、ときに忘れてしまうことでもある。
出版業界でも、本を売るために色々な「仕掛け」がされている。
この本で書かれているような、(ある意味)地道なクチコミで話題にすることもあれば、ネット書店のランキングをジャックするようなやり方もあるし、リアル書店で多面展開をしてもらうような古典的な手法もある。
でも、どんな方法で仕掛けても、その本の「中身」以上に売れることは、それほどない。
一時話題になったところで、“いいもの”でなければ、その勢いは続かない。
本当に当たり前の話だけど、まずは“いいもの”ありきなのだ。
どんな商品でもバカ売れするような、「魔法の仕掛け」を僕は知らない。
この本だって、“いいもの”だから、僕は今回、紹介した。
(大げさに言えば)僕には、このブログの読者に対する責任があって、つまらないものを紹介したら、それはこのブログの信頼性自体にもかかわるから。
(もちろん、僕が“いいもの”と思ったものが、多くの読者の共感を得られるとは限らないけど)
そんなわけで、いつのまにか自分まで「クチコミの輪」に参加してしまったようだけど、それだけのパワーを持った一冊である。