「誤植」はいったい、誰のせい?
2007年 05月 29日
第120号 『校正ミスを「誤植」という出版界』
(メルマガ:コンサル出版フォーラム 経営コンサルタント探しの「経営堂」)
誤植というのは要するに誤字脱字、校正ミスです。僕もこれまで、校正ミスネタを何度もこのブログに書いてきましたが、そのたびに「誤植」という言葉を使ってきました。
誤字脱字をなぜ誤植というかは、印刷工程に「植字」というものがあったことに由来します。
すでに過去のものとなって久しい、鉛で作られた「活字」の世界では、文字を一つ一つゲラ箱に置いていく様が、田に苗を植えていくのに似ているため「字」を「植」える、これを漢文の平仄に則り動詞を前において「植字」としたのでしょう。
昔の人は言葉づくりも律儀です。
つまり誤植とは植字の誤りということです。
するとここで一つ奇妙なことがあります。
誤植は、校正ミスと言い換えることもできます。
現在ではほぼ100%誤植は校正ミスです。
それを印刷現場(にはいないはず)の「植字」工員のミスであるかのような用語を使うのは潔くないのではないか。
謹んで校正ミスと告白するのが人の道であろう。
とはいえ長らく使い込んだ用語は、そう簡単に変えられません。
あるいは昔から責任を他者に押し付ける卑怯者体質が、出版にはあるのかもしれません。
なるほど、中には、DTPの業者さんが(こちらが入れた赤字に対して)間違った字を打ってきてしまう場合もあります。
でも、そんな場合でも、結局はその間違いをちゃんとチェックしなかったり、見落としたりする編集者に「誤植」が生まれる原因があることには変わりありません。
これからは「誤植」といわないで、「校正ミス」というべきでしょうかねぇ……
いや、もちろん、人のせいにしたいがために「誤植」という言葉を選んでるつもりは、毛頭ないのですが。