本のタイトルの主語は、「私」よりも「あなた」がいい?
2007年 06月 13日
当方にはいろいろな原稿が送られてきますが、この方の意見には、おおむね同意です。
原稿を拝見する際に、いつも気になることがあります。
それはタイトルです。
タイトルの主語が「自分(著者)」である原稿がきわめて多いのです。
たとえば「私はこうして●●できた」とか、
「私が●●できたワケ」といった具合です。
しかし、こうしたタイトルの原稿を出版社に送っても、
おそらく、まともに読んではもらえないと思います。
(自費出版や共同出版を専門に手がける会社なら別ですが)
出版社にアピールするのであれば、
主語を「読者」にしなくてはなりません。
たとえば「あなたもこうすれば●●できる」とか、
「あなたが●●できるようになるために」といった具合に、
読者を中心に表現することが大切です。
でも、より正確に言えば、ようは「著者の知名度」の問題なんですよね。
たとえば、名(物)経営者として名高い人が著者の場合は、タイトルに著者名を織り込んだほうが、固定のファンを取り込めたり、その知名度の高さでファン以外の読者にもアピールできたりする。
(ex.『稲盛和夫の実学―経営と会計』/『本田宗一郎夢を力に―私の履歴書』)
ただ、いわゆる「持ち込み原稿」の著者は、ほとんどの場合、世間的に無名な人です。
だからこそ、「私」をアピールしても仕方ないし、かえってうるさい。
というわけで、いつかは「私」を主語にした本を書いてやると思いつつ、「あなた」のために下積みをつむのが、一般的な著者(とくにビジネス書)の通る道なんでしょう。