出版業界に入りたい人たちへ。
2005年 02月 13日
そこでは、
エントリーシートの書き方、一般教養対策、面接での立ち居振る舞い、はたまた受かる人物の学歴・人となりまで。
しかし、たいてい、一番大事なことが書かれていない。
出版業界に入るために一番大事なこと。
それは「どこかに受かるまで、受け続けること」である。
そんなの当たり前だよ、と思う学生もいるだろう。
だが、実際に活動が始まれば、それが当たり前でなくなる。
それが出版業界だ。
大手の出版社の書類選考で全滅した、筆記試験がなかなか通らない、面接でいつもキツイことを言われてうまくいかない。
理由は様々だが、この業界を途中であきらめる学生は多い。
もちろん、出版をあきらめ、違う業界で新たなスタートを切るのは、各人の自由である。
だけど、その理由を、出版業界が難関だからとか、自分に適性がなかったから、で片付けるのはやめてほしい。
それは、ただ君が受け続けるのが嫌になったからでしょう。
僕自身は、就職活動のとき、どうしようもない「負け犬」だった。
出版業界だけで50社近く受け、ほぼ全滅。
自分のやりたい仕事ができる会社に受かるために、1年以上かかった。
どうにかこうにか小さな編プロにもぐりこんだのは、大学4年生の3月だった。
その会社には、けっきょく3年半近くいた。
体力的にも精神的にも辛い日々だった。
業界の嫌なところをたくさん見たし、読者に買ってもらうのが心苦しいような本を何冊も作った。
でも、その会社での経験がなければ、僕はいま勤めている出版社に転職できなかった。
僕に、出版業界の片隅にいることを許可したのは、その会社である。
本気で出版業界に入りたいなら、とりあえず受け続ければいい。
どんな小さな会社であれ、受かったあとは、個人の実力しだいでステップアップは可能である。
じつは今日、出版業界に入りたいと前の会社をやめ、わざわざ故郷から東京に移ってきた知人から、メールが届いた。
彼は、何ヶ月かの就職活動のあと、とある編集プロダクションに就職を決めたらしい。
出版業界が狭き門だということは、僕が一番よく知っている。
でも受け続けた人には、その狭き門が少しずつ広がってくるものだ。
受け続けることは大事である。
愚直だけど、その愚直さはあとからボディーブローのように効いてくる。