不思議な不思議な、小川洋子。
2005年 02月 14日

今月とりあげられていた作家は小川洋子氏で、仕事中の身ながら、ついつい読みふけってしまった。
僕は、この作家のよい読者ではなくて、『妊娠カレンダー』『博士の愛した数式』以外は読んだことがないのだけど、作品そして本人ともども、どうも不思議な印象を受ける。
今回のインタビューで初めて知ったのだけど、彼女は大学卒業後、病院の秘書室にいたらしい。
病院の秘書室というのは、誰かが亡くなったり、赤ちゃんが生まれたりする現場から微妙な距離があるんですね。
その場で人が病気になったり手術を受けたりするわけではないけれども、同じ建物のなかで日々そうしたことが起きている。
そういう微妙な距離感で人間の死に接していたことは、その後小説家になった私にとって、とても貴重な体験だったと思います。
と、本人が語っているけれど、なるほどこの「死との微妙な距離感」は、彼女、そして彼女の作品に不思議さをプラスしているような気がする。
(まあ、素人考えだが)
ちなみに『博士の愛した数式』は、現在36万部以上発行したらしい。
編集者としてはヨダレが出そうな数字だが、それだけの人に読まれるべき、いい作品だと思う。