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ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha

誰のために、許すのか? 誰のために、受け入れるのか?

サイバラの漫画を見ていると、高須さんって、とんでもない金の使い方する人だなぁ、という印象しかなかったんですが。

下の記事を読んで、だいぶ印象が変わりました。

西原理恵子さんを救った、高須院長の言葉(いやしのつえ)
西原「子供ふたり抱えて仕事しながら家にアル中(注:元夫→鴨志田穣)がいるとね、もう何をどうしていいかわからなくなるんです。そこに落とし穴があるのに、自分から入っていっちゃう感じ。やっぱり体力が一番きつかった。とにかくのどが乾いてたって記憶がありますね」

そんな大変な生活をそれでも6年続けたが、長男2歳、長女4ヵ月の時に離婚。母親として子供を守るための決断だった。

西原「ガンと同じなのよ、アル中って。家族の愛情で治そうってことがもう間違いなの。専門の医師じゃないと治せないんです。それがわかるのに6年かかった」

『毎日かあさん』は破天荒な夫を持った妻の子育て現場ルポでもある。最新刊「出戻り編」ではアル中を克服した鴨ちゃんと再び同居。ガンで亡くなるのを看取るまでが描かれている。

西原「帰りたい。鴨ちゃんにそう言われた時、最初は断るつもりだったの。記憶は飛んでるのに、あの生活を思うだけで呼吸がまだ苦しくなったから」

彼のためじゃなく、あなた自身のために彼を受け入れてあげるべきだ。じゃないと絶対に後悔する」そう言って、この時、西原さんを説得したのは、作品にもしばしば登場する大の西原ファン、高須クリニックの高須院長だった。

西原「高須先生はそれこそ何万人もいろんな女の人を診てきているからね。プロファイリングの量が違う。ありがたかった」
今、手元に『毎日かあさん4 出戻り編』がないのでうろ覚えですが、鴨ちゃんのことを描いたくだりを読むと、西原にとっても、二人の子供たちにとっても、四人で過ごした最後の日々はとても大切な時間だったんだろうな~と感じました。

そして、その生活を可能にした要因の一つは、高須院長の一言だったわけで。


彼の言葉に便乗するようですが、人を許したり、受け入れたりするのは、決してその人のためだけではないときがあると思うんです。

その人を許さないことが、回りまわって、自分の心にチクリとささったまま抜けないトゲになることがある。
とくに、その関係のまま、相手が手の届かないところへ行ってしまった場合は。


僕は昔、ある理由でずっと憎み、遠ざけていた母親が脳梗塞で倒れたとき、自分の心には一生抜けないトゲが残ると思いました。

幸いにも、母はその後、回復したのですが、そういうキッカケがない限り、彼女を許せなかった自分が今でも恥ずかしくなります。


ケースバイケースを承知で言いますが、許すことで救われるのは、相手ではなくて、自分自身かもしれない。

人を許すというのは、思った以上に複雑で、とても難しいことです。
by aru-henshusha | 2008-04-30 02:28 | 名言・言葉