「あなたはなぜ、編集者になったのですか?」
ときどき、初対面の人から、こういう質問を受けることがある。
この質問に正確に答えるのは難しい。
なぜなら、それは一言で片付けられるほど簡単な話ではなく、自分でも数え切れないほどの理由や偶然が重なった結果だから。
けれど、そう質問した人は、たいてい単純な答を期待しているものだ。
だから、僕はこう答える。
「僕の親父も、昔、編集者だったんです」
僕の父親は、たしかに編集者だった。
だった、と書いた理由は二つあって、一つは彼がとっくに編集者を辞めているから。
もう一つは、彼がとっくに、この世を去ってしまったから。
ここにも何度か書いているけれど、僕が物心つかないうちに、父と母は別れた。
僕は母に引き取られ、初めて父に再会したのは、小学校高学年のときだったと思う。
彼が「編集者」という仕事をしていたことは、すでに母から聞いていた。
(実際には、当時すでに父は体を壊していて、職を辞していたと思うが)
けれど、それがどういう仕事なのか、僕にはほとんど見当がつかなかった。
「編集者」という仕事の一端を垣間見たのは、僕が高校生のときだ。
僕は当時、何の因果か、父方の祖母が主宰する同人誌に、ときおり駄文を寄せていた。
ある日、その原稿に父が赤字を入れたものが、返信されてきた。
僕のつまらない誤字脱字や、助詞の誤用を、父は赤ペンで丁寧に直してきた。
これが「校正」っていうやつか。
僕はそのとき、編集者の仕事を何となく理解した気になった。
同時に、父との間に、少しだけ「つながり」ができたことが、正直、嬉しかった。

ガンで余命半年と宣告されたランディ・パウシュ教授が、カーネギーメロン大学の講堂で行なった「最後の授業」をまとめた本書は、同時に「父から子へのメッセージ」でもある。
『子供のころからの夢を本当に実現するために』という授業のテーマは、彼が三人の子供たちに残した、最後の贈り物だ。
彼が消えても、この授業の記録は、本や動画として永遠に残る。
皮肉ではなく、その機会が生前の彼に訪れたことは、喜ぶべきことかもしれない。
人によっては、子供たちに何を残すかじっくり考える前に、この世を去らなければいけない場合もあるのだから。
思えば、父の赤字も、僕にとっては一種の「最後の授業」であった。
その後(いや、その前も)、彼から何かを教わった覚えがない。
父がその生涯で僕に教えてくれたことは、赤字の入れ方だけである。
僕にとって、父は(たとえそのとき、もう本を作れない体になっていても)、一編集者として死んだ。
そして、あの原稿だけが残った。
今も、原稿やゲラに赤字を入れていると、ときおり父のことを考える。
色々あって、本当に色々あって、僕は彼と同じ仕事を選んだ。
彼はどんな気持ちで、普段、赤字を入れていたのだろう。
どんな気持ちで、僕の原稿に赤字を入れたのだろう。
答を知る術はもはやないけれど、僕は父と同じ仕事について、少しだけ、彼の気持ちがわかった気がする。
それだけで、僕はこの仕事を選んでよかったと思っている。
最後に、先日、以下の記事を通じて、ランディ・パウシュ教授の訃報を知った。
【訃報】ランディ・パウシュ教授、永眠。享年47歳
一読者として、そして若くして父を失った者として、心から彼のご冥福を祈る。
なお、本書についての、「より感想らしい感想」が知りたい方は、これらの記事を参照してほしい。
小飼氏がいうように、動画から見るほうがおすすめである。
「最初の講義」 - 書評 - 最後の授業/【感動!】「最後の授業」ランディ・パウシュ/【全米が泣いた!】最後の授業 ぼくの命があるうちに 動画編
(でも、編集者的には、端的でいい見出しをつけたなぁとも思ってみたり)
それはさておき、さっそく結果を見てみますか。
夫婦のセックスは「1年以上していない」が最多。「月に2~3回」「週に1~3回」と続く - 夫婦のセックスの回数について調査(エキサイトニュース)
もはや見出しでネタバレしてますが、月に何回程度の話じゃなかったようです。
【結果】 -2008年07月18日 17時現在
・毎日 15票(5.43%)
・週4~6回 11票(3.99%)
・週1~3回 38票(13.77%)
・月2~3回 46票(16.67%)
・月1回 27票(9.78%)
・年2~3回 27票(9.78%)
・1年以上していない 78票(28.26%)
・白紙票 34票(12.32%)
毎日する夫婦と、1年以上しない夫婦、いったい何が分かれ目なんでしょうねぇ……
仕事のグチを書くのは嫌なんですが、やっぱり取材モノは手間かかるなぁ。
しかも、あれだけ原稿に手を入れないと、使い物にならんとは……。
それはともかく、本日、ちょっとだけ更新します。
最初は仕事にまつわるネタ。
名刺活用意識と年収の関係についての調査結果(エキサイトニュース)
こちらの記事によると、「名刺使用枚数と年収は比例する」のだとか。
以下がその関係をまとめたアンケート結果です。
●年収 ●名刺の使用枚数
200万円未満 3.5枚/月
200万円~300万円 12.8枚/月
300万円~400万円 18.4枚/月
400万円~500万円 8.9枚/月
500万円~600万円 10.2枚/月
600万円~700万円 12.8枚/月
700万円~800万円 16.3枚/月
800万円~900万円 21.0枚/月
900万円~1000万円 30.3枚/月
1000万円~2000万円 37.3枚/月
このアンケートに従えば、月に40枚も名刺を配る人は、みなさんかなりのお金持ちということになりますよね。
僕自身、出版記念パーティ等で、一晩に3~40枚の名刺を配ることがよくあるのですが、年収1000万なんて、とてもとても……。
この名刺の法則、出版関係者にはあてはまらないようです。
尋常じゃない量の仕事に追われている毎日ではあるものの、とりあえず生きています。
と、これだけでは味気ないので、以下にブックマークしてたコネタいくつかと、これから紹介する予定の本をリンクしておきます。
来週後半?、何とかまとまった休みが取れそうなので、そこでできるだけ更新しますね。
●最近気になったコネタ
有吉がつけたニックネーム(またはその人のイメージ)一覧
いつ聞いても、「おしゃべりクソ野郎」は言いえて妙だと思います。
「モテる! しきたり」OKサイン見逃さないで
『Xサイン』と『おつまみサイン』、男をおとしたい女子も必読、かも……
山本マサと山本モナの違いを教えて
「ボールを握るのが昌 バットを握るのがモナ」←端的!
【連載】ネコ好きライターがゆく「あのネコに逢いたい!」 (1) 仮死状態での奇跡の誕生--「小さなタレ目猫」めめちゃん | ライフ | マイコミジャーナル
まこに負けない不思議顔のねこ。カワイイ……
ニュース番組になぜか猫がレギュラー出演、自由気ままにセットの中を徘徊─ テレビ東京系「週刊ニュース新書」
う~ん、超フリー。明日起きられたら見たいです。
出版社の背景(東京国際ブックフェア2008に行ってきた)
記事の末尾に、宗教系・政治団体系の出版社がまとめられています。ディスカヴァーの分類はちと疑問だけど。
●これから紹介予定の本

これのみ献本ではなく自腹本。できれば、世のお父さんがたに読んでもらいたいですね。最近のイチオシです。

著者より献本。
【ヤバ本】「ケータイ小説的。」速水健朗
「大きなお世話」 - 書評 - ケータイ小説的。
と、著名ブロガーさんに相次いで先を越されたので、重箱の隅をつつくような紹介になるかと……

担当編集者より献本。これ、思い切ったテーマですよね。一冊にまとめただけでもすごいかと。

著者より献本。この夏映画にもなる話題作。「普通の野球小説」に飽きたあなたはぜひ!

担当編集者より献本。学生時代コンビニバイトをしていた僕は当時を思い出しました。あと、519ネタも入ってお徳?

担当編集者より献本。某ビジネス書にクリソツなタイトルやら、36倍じゃなくて38倍じゃね?疑惑やら、ある意味いちばん気になった一冊。販促関係の本は僕もよく作るんで、ガチで読み込もうと思ってます。
*追記:記事アップ後、版元の広報を通じて下記2冊献本いただきました。それぞれの担当の方、気合入れて読みますね。

以前、当ブログで激賞した(って、偉そうだけど)『はじめての課長の教科書』の著者の第2作。
期待大です。

ミスを犯したとき、「謝る」以上に大切なこと。で紹介した『最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術』の担当さんが作った一冊。
この方が編集する本は、図解部分を見ただけで売れそうなニオイがプンプンしてくるのがすごいです。