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ある編集者の気になる人・事・物を記録したブログ。ときおり業界の噂とグチも。


by aru-henshusha
社会人になってから、いや正確に言うと、「会社人」になってから、「やれない理由」を言う機会が増えた。


編集者というのは、著者をはじめ、色々な人から「やりたいこと」を託される仕事である。
しかし、そのすべてに、「やれます、やりましょう」と応えるのは、現実的には難しい。

お金の問題、技術の問題、時間の問題、業界のルールの問題、会社の問題、もちろん、本人の能力や権力の問題もあって、「これこれこういう理由でやれません」と断ることも増えてくる。

それは仕方がない部分もあるけれど、最近、「やれない理由」を言っている自分が、少し怖い。

何だか、日に日に自分が、「やれない理由」を探すのがうまくなっている気がするから。


今の自分では、今の会社では、やれないことは確かにある。

けれど、いつも最初に「やれない」ところから考えをスタートしていると、本当は「やれる」ことでも「やれない」と思ってしまうクセがつく。

それは「会社人」の自分としても困るし、会社を離れた自分としても、やはり困る。


最近、僕には「やりたい」ことができた。

いや、それは本当は昔から「やりたい」ことだったのだけど、しばらくの間、その思いを自分で押し殺してきた。
自分で「やれない理由」を色々見つけてきては、「ほら、だから、やれないだろ」と言って、あきらめていた。

でも、結局それは、自分の本意ではなかった。
いつものことだけど、僕は自分の本心に気づくのが遅いんだ。


「やれない理由」なんて、探そうと思えば、いくらでも見つかる。

その一方で「やれる理由」や「やるためにすべきこと」も、一生懸命探せば意外と見つかったりもする。

本当にやりたいことならば、時間がかかっても、やれる可能性、やれる手段、を探したほうがいい。

「やれない」と思って「やらない」のはラクだけど、「やりたい」ことであればあるほど、いつかきっと後悔するから。
後悔したときにはもう、本当にやれなくなっている場合も多いから。


新年になって、何か新年らしいことを書こうと思って、いろいろ悩んで、そうするうちにどんどん忙しくなって、今日やっと、このことを書こうと思った。

今年は僕にとって、本当に「やりたい」ことを、どうにかして「やる」ために、土台を固める一年にしたい。
# by aru-henshusha | 2009-01-14 23:45 | 不定期なヒトリゴト。
新年もあけて早二週間たちますが、これが今年の初エントリとなります。
「100年に一度の危機」とやらを意識したわけではありませんが、まずはお金の話から。

下に転載するのは40年近く前の出版社の初任給(高い順)。

・各社の初任給

       大卒     高卒

岩波書店   50,901円   40,071円
日本評論社  38,800円   33,000円
正進社    38,300円   29,000円
平凡社    37,250円   30,200円
中央公論社  37,050円   26,250円
光文社    35,310円    -
小学館    35,260円   26,820円
集英社    35,260円   26,820円
河出書房   35,100円   27,700円
リーダイ   35,000円   27,500円
医歯薬出版  34,300円   28,300円
講談社    34,135円   26,850円
角川書房   34,120円   29,460円
中央経済社  34,000円   25,000円
医学書院   34,000円   27,600円
有斐閣    33,600円   28,000円
南山堂    32,300円   26,800円
       (以下略)
(出版労協調べ・昭和42年8月現在)
*(引用元:鈴木 敏夫 氏より (書籍「出版~好不況下興亡の一世紀」より)


で、次が最近のデータ。

順位 出版社名 初任給(大卒)
1位 福音館書店 432,850 円
2位 マキノ出版 303,650 円
3位 医歯薬出版 297,955 円
4位 医学書院 284,000 円
5位 集英社 276,055 円
6位 小学館 260,177 円
7位 芳文社 258,400 円
8位 南江堂 256,120 円
9位 光文社 254,600 円
10位 ダイヤモンド社 249,542 円
11位 東洋経済新報社 248,355 円
12位 中央法規出版 242,973 円
13位 主婦の友社 241,554 円
14位 大修館書店 240,900 円
15位 岩波書店 240,000 円
16位 学習研究社 236,800 円
17位 日本実業出版 235,000 円
18位 世界文化社 235,590 円
19位 日本文芸社 233,700 円
20位 新美容出版 232,200 円
※出版労連「出版産業賃金労働条件資料集2007年」より
(引用元:主な出版社の初任給


さて、「かたい」ところほど高い、と言ったのは、いわゆる大会社だけを指した話ではありません。

規模は小さくても、医学だとか教育だとか経済だとか、「かたい」内容の本を多く出している会社の場合、本の単価が高く、また教科書として採用されることも多いので、「かたい(=安定した)」経営状況を反映し、初任給も高くなるケースが多いようです。

*もちろん、以上は出版労協(→労連)に加盟している会社のデータの抜粋ですから、そうじゃない会社で初任給が高いところもあるでしょうが


しかし、給料ネタは折に触れやっていますが、書き終えたあと、毎回言い表しようのない虚しさを覚えるのはなぜかしら……
# by aru-henshusha | 2009-01-14 22:52 | 本・出版
『読書は1冊のノートにまとめなさい』は、「いい本」だけど、何かが足りない。_c0016141_15563910.jpgこれから紹介する本は、かなり前に担当編集者の方からいただいた。

読書は1冊のノートにまとめなさい

なかなか紹介できなかったのは多忙だったせいもあるけれど、もう一つ理由がある。

正直に言うが、この本をどう評価していいか迷ったからだ。

「同業者」としては、本書は高く評価すべきだろう。


ベストセラー『情報は1冊のノートにまとめなさい』の続編として多大な期待を受けてきたであろうこの本を、著者と編集者の方々はうまくまとめ上げたと思う。

たとえば、本書の構成の核となる 「インストール・フロー」は、その好例だ。

  1 探す(探書リスト作成)
  2 買う(指名買い)
  3 読む(マーキング)
  4 記録する(読書ノート作成)
  5 活用する(検索テキスト作成)

という段階にそって本文が展開し、第1章には、全体の流れのごく簡単なサマリーまでついている。
この通り実践すれば、著者が編み出したノウハウを無事「インストール」できるだろう。

同業者から見て、この本には、お世辞ではなく「いい仕事がされている」。
しかしながら、「一読者」として、僕はこの本には満足していない。



この本のカバーには、「多読・速読より、一冊ずつきちんと頭に落とす読書術」というコピーがある。

この言葉どおり、1冊の本を驚くほど短い時間で読む方法も、大量の本を読んで得た知識をビジネスに生かしてリターンを得ようなんてメッセージも、本書には書かれていない。

この本が扱うのは「まっとうな読書(&情報整理)」のノウハウだ。
しかし、そのまっとうさゆえに、それらのノウハウには新鮮味がほとんど感じられない。


僕らのように編集という職に就いた者で、「一冊ずつきちんと頭に落とす」ことを一度も意識しないで本を読んできた人間が、どれだけいるだろう?

仕事であれプライベートであれ、僕らは本の内容を思う存分享受するために、それぞれの読書術を日々磨いているはずだ(きっと、本書の担当編集者の方も)

だから、この本に書かれている大抵のことは僕は実践(あるいは理解)しているし、一部のノウハウは自分に合わないと思って止め、一部のノウハウはよりよいと思う方法で導入済である。

たとえば、本書で言う「探書ノート」は「はてなブックマークのコレクション機能」を代用している。
「読書ノート」のかわりとして、このブログには、よいと思った本の書評をアップしている。
読んだ本の書誌的な記録は、ブログのライフログに任している。
(よく考えたら、これも「はてブ」で代用できそうだが……)

そういう「読者」としては、この本は「いい本」だけど、何かが足りない。
僕は今さら自分の読書生活を、「1冊のノートにまとめたい」とは思わない。



最初に書いたように、今でも僕は、この本の評価を迷っている。

「他社の商品」として見たとき、この本は素晴らしい一冊である。
けれど、「自分が読む本」としては、この本には、やはり何かが足りない。

いい!と思える本というのは、自分にとってまったく新しいことが書いてある本というより、結局、自分自身の考えを後押ししてくれるもの、というか、薄々知っていたことを証明してくれる本。」と言った方もいるけれど、こと読書関連の本については、僕はそう思わない。

読書は僕にとって、多分死ぬまで欠かせない行為である。
だから、本の少しでも新しい読み方、違った本の楽しみ方を教えてくれるような本に、僕は出合いたい。

*追記:そのような意味で、以前、僕が感銘を受けたのが以下の本だ
→『本の読み方 スロー・リーディングの実践


*当ブログへの献本は、以下のルールに則っていただける限り、歓迎いたします。
当ブログへの「献本ルール」を、ここらでハッキリ決めようと思います。
# by aru-henshusha | 2008-12-25 18:16 | 本・出版
既に、ほとんどの方がご存じでしょうが。

<飯島愛さん>都内自宅マンションで死亡 元タレント36歳(Excite エキサイト : 社会ニュース)

彼女が亡くなったという事実は悲しいし、変えることができません。
けれど、人は死んでも、言葉は残ります。

僕に今できるのは、彼女の言葉を「集めて、編む」ことぐらいだと思って、大急ぎでアップしました。
引用元は、すべて彼女のブログ飯島愛のポルノ・ホスピタル Powered by アメブロです。

言葉を選んだ基準は、僕が心を動かされたかどうか。

むろん、すべての記事に目を通したわけではないし、読む人が違えば、選ぶ言葉も違うでしょう。
できれば彼女のブログを自分の目で見て、より多くの言葉にふれてみてください。

では、いきます。

『整形してる』とは、褒め言葉だ。
チョ~ブスな子に 『あの子整形してるのよ』とは言わない。
例え整形してなくても美人を見ると『どうせ整形でしょ?』と言うヤツもいる。

『飯島愛って、整形してんでしょ?』 って言うのは、正解です!!!な、ダケだ
整形
男は SEXをするまで女を褒めるし優しい
やる為だ。
女はSEXをしてから男に素直に成れる
裸に成ったからだ。
そんな気がする。
上辺の優しい言葉は人を酔わせる。
でも本当の優しさは人の涙を誘う。

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だから、皆で、同じ時代を生きて行こうねー

では、またね。
お誕生日おめでとう

# by aru-henshusha | 2008-12-25 01:17 | 名言・言葉
『就活のバカヤロー』は、じつは「頭がいい」タイトルなのだ。_c0016141_2264865.jpg就活のバカヤロー

という、一度聞いたら忘れられないタイトルのこの本は、かなり前に著者から献本いただきました。

多忙で紹介できないうちに、あれよあれよと売れて(→「就活のバカヤロー」新書がバカ売れ 学生も企業も大学も茶番?著者ブログによれば現在7万部突破とか)、けっこうな数の書評もされているご様子。

いまさら内容を論じるのもアレなので、今回はこの本のタイトルに絞って記事を書こうと思います。


さて、僕は著者とは古い付き合いということもあり、本が出る前からこのタイトルについては聞かされていました。

最初は、たしかにインパクトがあるタイトルだと思いましたが、けれど、その「言いっぱなし(タイトルが先行しすぎで、中身がよくわからない)な感じ」が多くの読者に受け入れられるのかどうかは、内心、心配もしていたのです。

しかし、フタをあければ、本書は売れに売れています。
これは、就職状況の急激な悪化の追い風も受けているとは思うのですが(注 就職難のほうが就活本は売れるので)、やはり、このタイトルの力も大きいでしょう。


後出し承知で言いますが、このタイトルは「シューカツ」に翻弄される学生、また、そんな学生に振り回される大学・企業の「心の叫び」を、どストレートに表現しています。

僕自身、出版社を数十社受け、不採用通知の嵐に見舞われていた学生時代は、まさに思いっきり「バカヤロー」と叫びたい毎日でした。
けれど、喉元過ぎればなんとかで、この業界に勤めてウン年たつと、その感覚を忘れてしまうのですね。

その点、本書の著者や編集者は、学生・採用担当者・就職課の職員という、立場が異なる3者に共通する叫びをすくいあげている。

「バカヤロ」ーという乱暴な響きのわりには、これは随分と「頭のいい」タイトルなのです。


それにしても、我ながら、売れた後にああだこうだ言うほど簡単なことはないですね。

この本を世に出す前から、ある程度の確信を持ってこのタイトルをつけた関係者たちの「頭のよさ」を讃えて、記事のシメとさせていただきます。


*当ブログへの献本は、以下のルールに則っていただける限り、歓迎いたします。
当ブログへの「献本ルール」を、ここらでハッキリ決めようと思います。
# by aru-henshusha | 2008-12-15 22:44 | 本・出版